「力士に限らず違うジャンルのアスリートとも接しサポートしたい」
「30歳を過ぎたあたりからここまで来られたのは自分1人の力ではないということに気付きました。本当に多くの方に支えてもらっていたと。1人では相撲を取れないということに気付きはじめ、そこからですね。自分のできるところまで頑張ってみようと。力が落ちているのは分かっていましたが一日一日を頑張ろうと。後悔だけはしたくありませんでした」
引退を強く意識するようになってから所属する部屋の親方の了承を得て就職活動を行った。就活は約1年半に及んだ。当初は特定の業種に絞らず、様々な業界の会社に応募した。30社近く応募したが、ほとんどが面接までたどりつけなかったという。会社勤めをしたことのない40歳手前の力士にとって厳しい現実だった。
就職活動を続けていくうちにひとつの方向性が見えてきた。
「相撲をやめても何かの形で恩返しをしたいなと思いました。相撲教習所で新弟子たちを指導していたので教える楽しさというものを実感しました。スポーツマネジメント会社に興味を持ったのは、力士に限らず違うジャンルのアスリートとも接しサポートしたいというのがきっかけでした」
そして現在の会社に出会った。4度の面接を経てようやく内定をもらい、サラリーマンに。甘利氏のセカンドキャリアがスタートした。
大相撲とは大きく異なる世界に飛び込んでから約1年。現在は主にアスリートを中心にマネジメントをしているが、お笑いタレントの山田邦子さんも担当している。現場マネージャーとして、22年12月に行われた「M-1グランプリ2022」(ABCテレビ・テレビ朝日系)で審査員を務めた山田さんに帯同するなど幅広く活動している。