作り上げられた「Z世代像」は本当か
竹田氏は著書『世界と私のAtoZ』の中で、企業などが作り上げた「Z世代像」について、以下のように批判している。
「マーケティング企業やコンサル会社が『Z世代とは』という概念を資本主義的に作り上げたり、大人の批評家が『〜がZ世代に人気の理由』を勝手に分析したがったり、都合の良い『Z世代の代弁者』を作り上げ、『大人の見たいZ世代像』を押し付けることによって形成される偏見と違和感は増しつつある。さらに大きな問題なのが、日本のメディアがいざ日本のZ世代当事者に対して『意見を聞きたい』と言う際には、実際には『面倒なことになるから大人はしたくない鋭い社会批判』や『なんだかんだ言って子供らしい青臭さ』のようなものを頻繁に求め続けることである。 多様な価値観が存在することこそが『Z世代らしさ』であるにもかかわらず、『Z世代を代表する意見』というものを欲しがるのは、あまりにも矛盾しすぎている」
Z世代に対するイメージとして、環境問題やSDGs(持続可能な開発目標)への関心が高いと伝えられることも多い。ただ、前出の男性は「自分はそこまで環境意識が高いわけではないですし、結局はその人次第なのでは」と首をかしげる。
ネオマーケティング(東京都渋谷区)がZ世代とY世代を対象に22年夏に行ったネット調査によると、「環境問題への関心が高い」という項目では、Z世代の関心度はY世代よりも低かった。また同調査では、Z世代の中で「SDGsへの意識が高い」と答えた人も、全体の中では少数派という結果になっている。
竹田氏は取材に「『最近の若い子はすごい』と同時に『最近の若い子はどうしようもない』という論説は、いつの時代にも存在する」と指摘。その上で「日本の若者たちがなぜこのような問題行動に走ってしまうのか、社会的背景から考えつつ、『なぜこのような若者の悪ふざけばかりを社会全体で糾弾するのか』についても考える必要があるだろう」と話した。
(J-CASTニュース記者 佐藤庄之介)