「セット率」100%でも3紙が夕刊やめる
夕刊がなくなるのは名古屋の毎日新聞に限った話ではなく、県紙レベルでは、コロナ禍の3年で7紙から姿を消す。大分合同新聞(大分)と徳島新聞(徳島)が20年3月、東奥日報(青森)が20年8月、山陽新聞(岡山)が20年11月、高知新聞(高知)が20年12月、熊本日日新聞(熊本)が21年9月に発行を打ち切った。静岡新聞(静岡)も23年3月いっぱいで夕刊の廃刊を決めている。
19年上期時点のセット率を見ると、大分合同新聞100.0%、徳島新聞10.5%、東奥日報98.2%、山陽新聞8.6%、高知新聞62.7%、熊本日日新聞11.8%、静岡新聞100.0%。セット率が100%に近い3社が夕刊をやめる判断をしている。この7県は全国紙やブロック紙が夕刊を発行していない地域だ。複数の新聞を扱う販売店の場合、朝刊は複数紙を一度に配ることができるが、夕刊は県紙のみを配ることになり、効率が悪くなってしまう。
配達の人手に言及したのが、東奥日報の社告だ。「全国的に朝夕刊を完全セットで発行している新聞社は東奥日報社を含めて2社だけです」と断った上で、夕刊をやめる理由を次のように説明している。
「新聞製作にかかる原材料費や輸送コストが上昇し、広告も減少するなど新聞販売を取り巻く環境は悪化を続けております。本紙各販売店においても、配達員不足が深刻さを増し、人件費がアップする一方、少子高齢化と人口減少で購読者も減少しています。さらに、消費税増税や新型コロナウイルスの影響で折り込み広告が激減するなど販売店経営を圧迫しております」
現時点で朝夕刊の両方を発行しているブロック紙と県紙は、前出の静岡新聞を除くと、北海道新聞(北海道)、河北新報(宮城)、東京新聞(東京)、新潟日報(新潟、タブロイド判の「Otona+(おとなプラス)として発行)、北陸中日新聞(石川)、北國新聞(石川)、信濃毎日新聞(長野)、中日新聞(愛知)、京都新聞(京都)、神戸新聞(兵庫)、西日本新聞(福岡)の11紙を残すのみだ。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)