「使い捨てカイロ」実はリサイクルできる! 「寄付します」再生事業が話題...何に使う?代表に聞いた

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   気軽に暖を取ることに便利な「使い捨てカイロ」をリサイクルする取り組みが、ツイッターで注目を集めた。

   J-CASTニュース編集部は2023年2月6日、使い捨てカイロを回収するGo Green Group(大阪市)に事業を始めた経緯を取材した。

  • SNSで話題になった成原とんみさんのマンガ(1)
    SNSで話題になった成原とんみさんのマンガ(1)
  • SNSで話題になった成原とんみさんのマンガ(2)
    SNSで話題になった成原とんみさんのマンガ(2)
  • カイロは水質浄化剤「GoGreenCube」に加工される
    カイロは水質浄化剤「GoGreenCube」に加工される
  • 使い捨てカイロの解体作業の様子
    使い捨てカイロの解体作業の様子
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  • SNSで話題になった成原とんみさんのマンガ(1)
  • SNSで話題になった成原とんみさんのマンガ(2)
  • カイロは水質浄化剤「GoGreenCube」に加工される
  • 使い捨てカイロの解体作業の様子
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池などの水質浄化に貢献

   注目を集めたきっかけは、マンガ家・成原とんみ(@tonmi_n)さんがツイッターに掲載したエッセーマンガだった。冬場にたくさん使った使い捨てカイロをGo Green Groupに寄付しているそうで、捨てたカイロが別の用途で活躍するという科学技術にロマンを感じているなどと伝えた。

   取材に対し、成原さんは数年前にカイロを回収するプロジェクトを紹介するツイートをみて興味を持ったと明かす。マンガを描いた動機は「季節柄使用することの多いカイロなのでこういったプロジェクトがあるという知識のおすそわけです」と述べる。マンガでは、アレルギー性咳喘息が辛いときに肩甲骨の間かやや上にカイロを張ると楽に感じていると紹介したが、医学的エビデンスはないため自己責任で判断してほしいと付け加えた。

   マンガは7日15時現在までに、1万6000回以上リツイートされ、2万3000件を超える「いいね」が寄せられる大きな反響を呼んだ。カイロを処分することにもったいなさを覚えていた人も少なくなかったようで、「寄付できるとか知らなかった!」「今めっちゃカイロ使うので、ためておいて寄付します」などと驚く声が寄せられた。

   回収された使い捨てカイロはどのようにリサイクルされるのか。取材に対しGo Green Groupの山下崇代表は、リサイクルしたカイロは水質浄化剤となり、寺社仏閣の池、役所の池、世界遺産の古墳の濠などで用いられていると説明する。

   公式サイトの説明によれば、カイロは水質浄化剤「GoGreenCube」に加工される。カイロに含まれる二価鉄イオンが水中に溶出すると、ヘドロに含まれる硫化水素やリン酸と結合し無害になる。結果、水質が改善し、水生生物にとって理想的な水圏環境を維持できるとしている。

「ゴミを使って環境が良くなるなんて...」研究に感銘

   山下さんがカイロのリサイクル事業に取り組んだきっかけは、東京海洋大学の佐々木剛教授の研究内容を知ったことだった。

   山下さんの前職はコンビニオーナー。食品ロスの問題などに罪悪感を抱え、地球環境のために何ができるか考えていたという。アルバイトの中国人女性が、故郷のお土産に大量にカイロを購入するのを見て、「そもそもカイロってなんだろう」と興味を持った。

「ネットでカイロについて調べていたところ東京海洋大学の研究に出会い『これは凄い!ゴミを使って環境が良くなるなんて』と感銘を受け、いつしか自分の仕事にしたいと思うようになりました」

   2018年の冬からゴルフ場に協力してもらい、21年1月からは一般の人々からもカイロを集めた。現在は全国各地で回収を進めている。

「回収場所はすべて把握できていません。皆様ボランティアでカイロ回収にご尽力いただいております。 北海道から沖縄まで約1万人の個人の方々、100校以上の学校、300社以上の企業様にご協力いただき、これまでに100トン近いカイロを回収させていただきました」

   今回SNSで話題になったことについては「大変有り難く感じております」と感謝する。たくさんの問い合わせも寄せられているという。今後については、「水質浄化材の使用先がまだまだ少ないので、それを増やして行くことが課題です」と意気込んだ。

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)

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