彗星のごとく現れたSNS「Bondee(ボンディー)」の勢いが止まらない。2022年12月のリリース後、またたく間に利用者を増やし、アプリストアランキングの上位に躍り出た。
なぜ短期間で支持を得られたのか、セキュリティ面の懸念は事実なのか。日本法人に聞いた。
「アメーバピグ」を思わせる世界観
ボンディーは、「次世代メタバースSNSアプリ」として2022年12月に配信を開始した。
シンガポールに本社を置くIT企業「メタドリーム」が手がけ、日本、シンガポール、韓国、タイ、マレーシア、フィリピン、台湾とアジア圏に展開している。
かつて一世を風靡したコミュニティサービス「アメーバピグ」を思わせる世界観で、自らの分身(アバター)を作成して仮想空間で友人と交流したり、何気ないつぶやきを投稿したりできる。友人になれるのは50人までで、ツイッターやインスタグラムなどと違い「クローズド性」が特徴だ。
利用は無料。アバターの衣装の一部が「期間限定のお試し」となっているため、将来的にはファッション性の高いアイテムの有料化などで収益化を図るとみられる。
アプリストア「グーグルプレイ」では23年2月10日現在、500万以上ダウンロードされており、評価は5点満点で4.3点(レビュー数は2万超)を記録する。「アップストア」では、iPhoneの無料SNSランキングで2位となっている。
ヒットの背景にある2つの要素
メタドリームの日本法人(東京都千代田区)は2月9日、J-CASTニュースの取材に、急激に支持された理由を「サービス特性が若者ユーザーの『気軽で自由な自己表現』、『多様な繋がり』などのニーズにマッチしたことが、成功に繋がった背景としてあったのではないかと考えております」と考察する。若年層を中心に利用者を広げ、日本以外の市場でも急成長を遂げているという。
Bondeeには、前身となるサービスがある。メタドリームは22年5月、同様のコンセプトだった中国初のSNSSNS「Zheli(啫喱、True.ly)」を買収し、グローバル展開を視野に機能改善したのがBondeeだった。
複数の海外メディアによれば、Zheliも驚くべき速度で市場を席巻した。しかし、22年1月のリリースからわずか1か月後、運営会社はアプリストアから削除を決めた。技術的な問題への対処を理由に挙げていたが、プライバシー面での懸念も指摘されていたという。
データセンターは日本、アメリカに設置
こうした経緯もあり、Bondeeの利用を不安視する向きもある。メタドリーム社は「安全性・信頼性については、厳正な審査・検証を行っておりますので、安心してご利用ください」と問題ないとの見解だ。
ユーザーの個人情報保護を重視しており、データセンターは日本とアメリカに設置しているという。運営拠点も日本と韓国にあり、「データセキュリティ対策の強化に努めてまいります」としている。
今後の展望については、「『より気軽で自由な自己表現』、『よりユニークで多様な繋がり』の2つのメインコンセプトを軸に革新・刷新を行ってまいります」と答えた。