プロ野球の春季キャンプが2023年2月1日に各地でスタートした。18年ぶりのV奪回を目指す阪神は1軍が沖縄県宜野座村、2軍が沖縄県うるま市でそれぞれキャンプを行っている。
今季、新たにチームを指揮する岡田彰布監督(65)はどのような野球を見せるのか。新生タイガーズに注目が集まるなか、J-CASTニュース編集部は、楽天の元ヘッドコーチで、巨人、西武、ヤクルトでコーチを歴任した橋上秀樹氏(57)に戦力を分析してもらった。
「いかにして点を取るというのが課題になる」
阪神は昨季、開幕から9連敗を喫しスタートで大きく出遅れた。リーグ最下位で迎えたセ・パ交流戦では大山悠輔内野手(28)の活躍などもあり12勝6敗と勝ち越し。7月には2位に浮上し首位ヤクルトを追いかけるも終盤失速しリーグ3位に終わった。クライマックスシリーズ(CS)はファイナルステージでヤクルトに3連敗(アドバンテージ1勝)を喫し敗退した。
橋上氏は「昨年開幕から大幅に出遅れたという事を考えると、青柳投手がWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の代表に選出されなかったということが大きい」とし、「開幕からフルに使えペナントに集中できる。スタートから目一杯いけますから」と分析した。
昨季リーグトップのチーム防御率を残した投手陣は今季も健在で、青柳晃洋(28)、西勇輝(32)の両エースが先発の柱として期待される。一方でチーム打率は.243でリーグ5位。失策数は5年連続でリーグワーストを記録している。
橋上氏は「昨シーズンは投手陣がリーグの中で群を抜いていた。実際、シーズンを通した数字を見ても12球団の中で上位に入る。阪神が今季上位に浮上するポイントは攻撃力と守備力。いかにして点を取るというのが課題になる。これだけの投手力なのであとちょっと打てれば優勝争いに食い込める可能性が高いと思う」と語った。
岡田監督は今季、佐藤輝明内野手(23)と大山のポジションを固定すると明言している。昨季は内野、外野をこなした佐藤はサード、大山はファーストで打撃ではクリーンアップとして期待を寄せている。橋上氏はポジションを固定することで打撃の向上が見込めるとの見解を示した。
「あとは新外国人選手がどれだけ機能するか」
「色々なポジションを守るのは負担が大きく、どうしても打撃に影響が出やすい。不安が精神的な疲労となり蓄積され、打席で集中力が妨げられるケースがよくある。ひとつのポジションを守っていてもプレッシャーは感じるが、複数のポジションを守るよりは精神的疲労は軽減する。打つ方に集中しやすい環境になる」
プロ3年目の佐藤に関しては「かなり成長しているように思います。無茶なバッティングというのがなくなってきた。ある程度、自分が想定した球種なりコースに対して仕掛けていくようになったと感じます」と分析し、「あとは新外国人選手がどれだけ機能するか。攻撃面を考えれば外国人選手が大きなウエイトを占めていると思います」と語った。
今季は新たにシェルドン・ノイジー外野手(28)とヨハン・ミエセス外野手(27)が加入し、それぞれ春季キャンプに参加している。スポーツ紙などの報道によると、岡田監督はノイジーを「3番レフト」として起用する構想だという。
前任の矢野燿大監督(54)は4年連続でAクラス(3位・2位・2位・3位)を死守した。今季18年ぶりの優勝はなるのか。橋上氏は「これからケガ人などが出てこなければ他の球団と比べ先発、中継ぎにかなりアドバンテージがある。投手力を含めて総合的にみるとセ・リーグの中では上位の戦力が整っている」とし、「最低でもAクラスには入ってくると思います」と予想した。