TOKYO MXで放送の連続ドラマ「GODドクター NEOX」が打ち切りになった。制作するゴッドワールドエンターテインメント(東京都新宿区)が2023年2月8日、ドラマ公式サイトで発表した。
同作をめぐっては、新型コロナウイルスやそのワクチンへの不安を煽るような描写があった。
「新型コレガウイルス」と「秘密結社DS」
同局公式サイトによると、「GODドクターNEOX」はプロデューサー・作家・映画監督などで活動する「GOD」氏が監督・主演を手掛けた「痛快医療ギャグドラマ」で、「現実とギャグが連続交差する。現役医療従事者も出演するドラマ」としている。ドラマ公式サイトによると、22年にチバテレで放送された「GODドクター」を、新キャストによる追加撮影分や未放送映像などとあわせて再編したものだ。
ストーリーは、南の島から世界中に広がった殺人ウイルス「新型コレガウイルス」により、世界中がパニックに。実はこのウイルスを世界中に蔓延させたのは「秘密結社DS」だった。殺人ウイルスを撲滅するためのワクチンの開発が進むが、その過程で秘密結社DSによる「人口削減計画」が明らかとなる。主演のGOD氏が演じる謎の過去を持つ医師・GODドクターが医師の立場からウイルスの謎と秘密結社DSの陰謀を暴いていく......といったものだ。「新型コレガウイルスより本当に怖いのはワクチンだ」ということが報道規制されているとの描写もある。
第1話のタイトルは「奇想天外 GODドクター登場!」、第2話は「DSが仕掛けた人工削減計画を見抜け」、第3話は「悪魔のワクチンとテレビは洗脳装置」、第4話は「目覚めろ国民! 人間モルモットとフランスからの使者」。放送中止となった第5話は「危しSIZUKU! 撒かれたウイルスと徳川秘薬の謎」の予定だった。
前作の放送の際に行われた「夕刊フジ」によるインタビューでは、GOD氏は同作の制作理由について「逼迫(ひっぱく)した医療現場の生の声がグループLINEに多く入ってきました。真実を発信すると、陰謀論者扱いされてしまいかねない状況です。感染やワクチンの副作用が招いた悲劇をノンフィクションとして描くのは難しいので、ドラマとして描きました」としていた。
「ワクチンに関する陰謀論のような主張が終始なされている」
ストーリー展開について、SNSなどでは同作が新型コロナウイルスの流行をめぐる陰謀論をモチーフとするものではないかとする声が上がっていた。
BPOの1月の視聴者意見には、「新型コロナウイルス感染症を想起させるような『医療ギャグドラマ』」に寄せられた意見として、同ドラマへの苦言と見られるコメントが寄せられている。
「『パロディ』『フィクション』のドラマとはいうが、ワクチンに関する陰謀論のような主張が終始なされている。その出演者、スタッフはネット上で新型コロナウイルスについて反ワクチン論を展開している。視聴者に事実を誤認させるような内容が3か月間放送され続ける事態は看過できない」
同ドラマを制作するゴッドワールドエンターテインメントは8日、公式サイトに掲載した「『GODドクターNEOX』5話以降の放送について」で、「この度、TOKYO MX1での放送及びエムキャスでの見逃し配信が打ち切りとなってしまった事をご報告させて頂きます」と番組の打ち切りを発表した。
理由については「来週、TOKYO MX及び代理店、弊社の3社で話し合いを行い、その結果をご報告させて頂きますので、それまでお持ち頂きますよう、よろしくお願い申し上げます」とした。「放送を楽しみにしてくださっていた視聴者の皆様には深くお詫び申し上げます」としている。