「地震が不安なら日頃からの備えを確認しましょう」
レンズ雲が見つかったトルコ西部ブルサは、震源地のガジアンテップ県から約950キロも離れている。東京都~山口県の距離に相当する。
なぜ、真っ赤な色だったのか。米フォーブスは、日の出の時間帯に撮影されたためとしている。その時間は太陽が水平線より低くなる。光が通過する大気が多いため、青や紫のような波長の短い光は拡散する。そのため、可視光のうち波長の長い色(黄色、オレンジ、赤色)がより鮮明に見えるようになる。大気がほこりで汚れていると、オレンジや赤の色がより鮮やかになるという。
「地震雲」の存在は、学術界では否定されている。日本地震学会はウェブサイトで「地震研究者の間では一般に、雲と地震との関係はないと考えられています」と説明している。根拠として、次の2点を挙げている。
「地下の現象である地震と、大気中の現象である雲とを直接・間接に関連付けるメカニズムが考えられていないことです。地震雲を説明する際に、地震の前の岩石の微小破壊による電磁波の発生が用いられることがありますが、微小破壊で電磁波が発生することはありえるとしても、地下深くで発生した電磁波が 地表に伝わるしくみを十分に説明した学説はありません。さらに、地表に電磁波が伝わったとしても、その電磁波によって地震雲が生じるしくみを十分に説明した学説もありません」
「メカニズムが不明でも、『地震雲』の定義が明瞭で、一定の基準で認定された『地震雲』と大地震との対応例が多数報告されていれば、経験的あるいは統計的に『雲』を地震の前兆と捉えることが可能ですが、実際には、報告されている『地震雲』のほとんどは(中略)不十分・不明瞭で統計的な検討が困難です」
気象庁も、「形の変わった雲と地震の発生は、一定頻度で発生する全く関連のない二つの現象が、見かけ上そのように結びつけられることがあるという程度のことであり、現時点では科学的な扱いは出来ていません」と同様だ。
気象研究者の荒木健太郎さんはトルコでの地震後、ツイッターで「何度でも言いますが、雲は地震の前兆にはなりません。巷で『地震雲』と呼ばれることの多い雲は全て気象学で説明できる子たちで、雲の見た目から地震の影響等を判断するのは不可能です。地震が不安なら日頃からの備えを確認しましょう。雲は愛でましょう」と「正しく」恐れる必要性を説いている。
Incredible cloud formations witnessed in Turkey, were they added in post-editing or were they real? What is the purpose of this strange in the sky? It feels like a UFO again, nature is really amazing #UFO #nature pic.twitter.com/ElyiZ2dAIa
— Lucy ?? (@Jocelyn1988_) January 20, 2023