ルフィ強盗事件逮捕の容疑者「死刑」はあり得る? 元東京地検検事の弁護士が語る「捜査の難しさ」

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   関東などで相次いだ連続強盗事件で、指示役の「ルフィ」だともされる今村磨人容疑者(38)と藤田聖也容疑者(38)が、フィリピンから移送される航空機内で警視庁に逮捕され、今後の展開に注目が集まっている。

   強盗殺人に関わった疑いもあるとされ、量刑が重いだけに、今村容疑者は「死刑になるのが怖い」と漏らしたとの報道もあった。死刑になりうるのかなどについて、弁護士に取材した。

  • 警視庁は強盗事件を解明できるか
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「日本に帰って死刑になるのが怖い」と漏らしたとの報道も

   「速報 ルフィ逮捕」。2人が航空機内で逮捕されたと分かると、こんなテロップを流すテレビ番組もあった。

   各メディアの報道によると、2人とも、黒い防弾チョッキに半ズボン姿で、航空機のタラップを上って機内に入った。座席では、捜査員に囲まれながらも熟睡し、乗降するときは、今村容疑者は目元に笑みをたたえ、藤田容疑者は鋭くにらむ様子だったという。

   2人は19年4、11月、金融庁職員などを名乗って、東京都内の男女宅を訪れて用意させたキャッシュカードを盗むなどした特殊詐欺事件で、グループ幹部として関わった窃盗の疑いが持たれている。グループによる被害は、全国で60億円以上に上るとされている。

   注目を集めているのが、22年から日本全国で相次いだ強盗事件への関与だ。

   東京都狛江市内で23年1月19日、住民の女性(90)が殺害され、腕時計などが奪われた事件など少なくとも5件に関わった疑いが浮上している。秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」を使い、ルフィやキムなどを名乗って、実行犯に指示を出していたのではないかというものだ。

   強盗事件への関与が疑われている渡辺優樹容疑者(38)と小島智信容疑者(45)も、8日に日本へ移送される見通しが報じられている。フィリピン側は、収容所内で押収した4人の携帯電話24台を日本に引き渡すとされており、今後警視庁が全容解明を目指すとみられている。

   北海道新聞の7日付ウェブ版記事によると、今村容疑者は、移送時の穏やかそうな様子とは違い、「日本に帰って死刑になるのが怖い。震えて眠れない」とフィリピンの入管施設内から知人に電話してきたという。

若狭勝弁護士「死刑はありえる」が...「分析に時間がかかると思います」

   強盗殺人に関与した疑いも報じられており、電話が事実なら、今村容疑者は、そのことを知って、厳しい量刑を意識したものとみられる。

   今村容疑者らが今後、同罪に問われるなどして、死刑になることは考えられるのだろうか。

   元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は2月7日、J-CASTニュースの取材に、次のような見方を示した。

「強盗殺人は、死刑か無期懲役しかありません。1人殺害でも、他の強盗傷害や特殊詐欺などと抱き合わせれば、死刑はありえると思います。主犯格以外を含めて、無期もありえますね。しかし、裁判員裁判になりますので、相当しっかり捜査しないといけないでしょう。証拠が弱いと難しくなります」

   そのためにも、特殊詐欺事件で4人をきちんと起訴することが大事だと若狭氏は強調する。

「窃盗の逮捕状は、だいぶ前から取られていて、証拠はそこそこあると思いますので、起訴の可能性は高いでしょう。強盗事件と基本的な指示の構図は同じでしょうから、共犯の役割分担や指示系統を明確にして起訴することが今後の事件解明の礎になると思います」

   とはいえ、強盗事件については、かなり難易度が高い捜査になるとみる。

「携帯電話が使われたのは、フィリピンでの話になりますので、誰から入手したかなどフィリピン警察の協力が必要です。それがおぼつかないようでは、テレグラムを使ったやり取りをどれだけ復元し、分析できるか保証の限りではありません。また、どの携帯が犯行に使われ、誰が使って指示したのか、という問題もあります。携帯の使い回しをしている可能性があり、ルフィやキムが誰なのか、分析に時間がかかると思いますね」

   もし強盗事件を解明できず、特殊詐欺事件だけで起訴されれば、最高で懲役20年の実刑判決になって、4人が早期に刑務所から出所する可能性も出てくるとしている。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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