回転寿司チェーン「スシロー」をはじめ、飲食店での迷惑行為を収めた動画がSNSに投稿され、2023年1月以降相次いで発覚した問題は、国外でも波紋を広げている。
多くの記事で指摘されているのが、日本の消費者の「清潔志向」だ。清潔志向が高い分、それに反する事案に対する反発が強い、という見立てだ。
騒動を起こしたのは「日本の高い衛生基準を軽んじている人たち」
AFP通信は、共用の醤油の容器をなめて元の場所に戻したり、レーンを流れる寿司にわさびを塗ったりする事案を列挙し、
「これらの事件は、ほんの動画数本に留まっているようだが、清潔志向の強い日本では騒動になっている」
などと指摘。「被害を受けた企業を支援する波が押し寄せた」として、店を支援するハッシュタグが投稿されたエピソードや、手越祐也さんが初めてスシローに行ったとツイートしたことも報じた。
英ガーディアン紙は、「日本の外食産業界に『寿司テロ』の波が押し寄せる」の見出しで騒動を報じている。記事では、「高い衛生基準」という言葉で、同様の背景を解説している。
「事案の数が少ないため、寿司をめぐる犯罪が多発しているとは言い難いが、この動画は、推定7400億円の産業規模を持つ日本で騒動を巻き起こしている。その(批判の)多くは、日本の高い衛生基準を軽んじている人たちに向けられたものだ」
帝国データバンクは22年5月、21年度の国内回転寿司市場は7400億円を上回るとする試算を発表している。ガーディアンの「推定7400億円」は、この試算を指しているとみられる。
ソウル新聞は「約168億円の損害賠償額」可能性に関心
イタリアのコリエーレ・デラ・セラ紙は、
「千年来の清潔文化だけでなく、回転寿司が約7400億円もの経済効果を生むことから、非常に敏感になっている」
と指摘。英BBCでも「寿司テロ」という言葉が登場。「清潔志向の高いことで知られる日本で騒動になっている」と報じている。
違う話題に着目したのは韓国メディアだ。ソウル新聞は、「物議をかもした17歳の日本少年に約168億円の損害賠償額を請求する可能性が提起され、注目が集中した」。騒動で株価が下落したことで失われた時価総額を賠償させることに現実味があるかについて議論が起きていることを報じている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)