国語辞典などで知られる出版社・三省堂(東京都千代田区)が発売したLINEスタンプがSNSで注目を集めている。「了解」「ありがとう」「凡人」など様々な言葉に、辞書風の説明を添えたものだ。
J-CASTニュースの取材に対し、三省堂は2023年2月6日、SNS利用者に辞書の面白さを再認識してもらうために企画したと述べる。
「ウザい説明が受けているようですね」編集委員もダウンロード
三省堂は1日、「三省堂辞書スタンプ」を発売した。スタンプは、アプリのトーク画面を模したデザインで、同社の国語辞典「新明解国語辞典第八版」もしくは「三省堂国語辞典第八版」のアイコンが、メッセージで各単語の豆知識や説明を披露する。
例えば「了解」という単語のスタンプは、三省堂国語辞典が次のように説明する。
「了解[りょうかい]《名・他サ》
[豆知識]目上に失礼な語という人がいるが、以前から『了解しました』など、丁寧表現として使われる」
利用すると、トーク画面にいきなり辞書が現れ、単語を解説するような演出になる。
このスタンプを5日、あるツイッターユーザーが「このスタンプ控えめにいって良すぎ」と紹介した。ニュアンスを正確に伝えたいときに役立つのではないかなどと話題になり、この投稿は6日19時までに、8000件のリツイート、2万9000件を超える「いいね」が寄せられている。
こうした反響を受けて6日、三省堂国語辞典の編集委員として知られる日本語学者の飯間浩明氏も「ウザい説明が受けているようですね。私もダウンロードしました」とツイートした。
「何気ないことばをより身近に」
取材に対し三省堂は、「明解国語辞典」刊行80周年記念キャンペーンの一環で制作したと明かす。
「『明解国語辞典』の流れを汲む『新明解国語辞典』『三省堂国語辞典』を使ってSNS利用者に辞書の面白さを再認識していただけないかというところが企画のスタートです。
辞書というと少し硬い印象を持たれる方が多いと思いますが、そもそも辞書は皆様の生活に寄り添う『ことば』を集めた書籍です。このスタンプが、何気ないことばをより身近に感じていただけるきっかけとなれば、辞書出版社としては嬉しい限りです」
スタンプでは、「使用シーンを想定した基本的なことば」や、「辞書ならではの特徴が感じられることば」を採用したという。
「おはようございます」などの挨拶、「それな」などの相槌に加え、先述の「了解」など豆知識的な要素が含まれることばが選ばれている。さらに特徴的な語釈があるスタンプもある。例えば「凡人」については、下記のように説明している。
「自らを高める努力を怠ったり功名心を持ち合わせなかったりして、他に対する影響力が皆無のまま一生を終える人。〔家族の幸せや自己の保身を第一に考える庶民の意にも用いられる〕」
こうした語釈はツイッターでも話題になり、「凡人が辛辣...」「人情味あふれる解説はたまらんよw」といった感想が投稿されている。
口コミ効果?販売数は激増
三省堂は、各スタンプの使用回数はまだ集計できていないものの、「了解」や「それな」などの相槌系は使い勝手がいいのではないかと推測する。また、「動物園」「実社会」「凡人」などの特徴的な語釈のある単語については、「ユーザーの方がどのようにお使いいただけるかが非常に楽しみです」と期待する。
スタンプは6日朝までに2000個ほど売れていたが、取材に回答した同日18時には7000個以上に膨らんだという。
「大変多くの反響をいただき、非常に驚いているのが本音です。
好意的に受け止めていただいている方が多く、有難く思います。
ネット検索やアプリなど、すでに紙の枠を飛び出し様々な形に変わってきている辞書ですが、今度はLINEスタンプとして皆さまのそばに置いていただけますと幸いです」
(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)