猿回しの練習中に、女性芸人がサルの肩を強くつかんだり、両手で頭をグリグリしたりする様子を撮った動画がツイッターに投稿され、波紋が広がっている。
さいたま市内で行われた出張公演に際して、観客が撮ったとみられている。公演を行った「日光さる軍団」の運営会社は、取材に答え、「日ごろは、こんな指導をしていません。多くの人に不快な思いをさせて、申し訳ない思いです」と謝罪した。
「なんで客の前でやった?」「見ちゃうと悲しくなります」
「嫌がってんじゃん」「マジで可哀そうなんだけど」。50秒ほどの動画を見ると、観客からこんな声が漏れていた。
この動画は、ツイッターで2023年2月5日に投稿された。
黒っぽい半てんを着た女性芸人が、イライラしたような様子で、赤い半てんを着たサルをつなぐロープを持っている。
すると、いきなり右手でサルの右肩を強くつかみ、サルが悲鳴を上げて振り向く。そして、サルにおじぎをさせると、「違う!」と言って、右手でサルの右足を叩いたり、両手でサルの両肩を強くつかんだりした。サルは、その度に悲鳴を上げた。
その後も、「行くよ、はい」などと言いながら、右手でサルの右肩を持って押したり、叩いたりした。この様子に、観客からは、「嫌がってんじゃん」などとため息が漏れる。今度は、芸人が両手でサルの頭の毛を引っ張ったり、グリグリと頭をはさんだりすると、「本当にやるの?」「ヤバくない?」との声が上がった。
拡散された投稿では、さいたま市内のJR大宮駅前ビル「大宮アルシェ」で行われた出張公演に際して、今回の芸人の行為が見られたと説明された。
動画は、50万回以上も再生されており、様々な意見が寄せられている。
芸人への疑問や批判も多く、「なんで客の前でやった?」「見ちゃうと悲しくなります」といった声が上がった。一方で、「躾するのは当たり前だ」「これくらいしないと覚えないだろ」などといった反応も出ていた。
「感情の部分が大きかったと思うが、2度とあってはならない」
日光さる軍団としては、女性芸人の行為をどう見ているのだろうか。
軍団を運営するモンキーエンタープライズの広報担当者は2月6日、J-CASTニュースの取材に次のように答えた。
「日ごろは、サルのトレーニングに際して、あのような指導はしていません。本人の感情による部分が大きかったのだと思いますが、2度とあってはならないと思っています。動物愛護の精神を敏感に感じ取って、肝に銘じて動かないといけなかったでしょう。どうしてこんなことが起きたか調査したうえで、芸人に対しては厳しく対処しないといけないと考えています」
大宮アルシェの公式サイトでは、2月4、5日の土日にイベントスペースでさる軍団のステージがあったと紹介されている。動画の行為は、5日にあったのではないかといい、公演と公演の合間にあったことだとした。そのうえで、「多くの人に不快な思いをさせてしまい、深くお詫び申し上げます」と述べた。
軍団の公式サイトは6日夕、「一部SNSで流れている弊社芸人の動画について」と題して、日光さる軍団の村崎太郎代表名でお詫び文を出した。
「弊社で指導している内容とは大きくかけ離れた行動」
そこでは、「社内で調査した所、当該芸人のとった行動に関しては、弊社で指導している内容とは大きくかけ離れた行動になっていた事を確認し、現時点で速やかに芸人と猿との接触をさせない処置をとりました。また私自身も本人から事情聴取し、当日、新しい芸に挑戦したが思い通りにならず、感情的になってしまいあの様な行動に至ったということを確認しております」と説明した。
そして、「猿と共に生き、共に芸をする関係において、指導以上のこのような突発的な行動が許されるものではないという事を、伝えきれていなかった私の指導不足と痛感し、重ねてお詫び申し上げます。弊社では、猿のトレーニングに関しては、現段階でも多方面な視点をもって日々検討を続けておりますが、人間よりも小さな動物と向き合う時には、力をもって制するのではなく、自分を猿の立場におき、自分が猿になれと常日頃指導しております」としたうえで、次のように締めくくった。
「今後日本の伝統芸能猿まわしを継承していくにあたり、現代のグローバルスタンダードを意識し、猿のトレーニングに留まらず、野生動物であるニホンザルと人間が共存共栄していくという事について、内部だけでなく、外部からのご意見にも耳を傾け、さらに社内浄化システムの確立をしていかなければならないと心から思っております。今回のことを教訓に、不快な思いをさせるのではなく、心からおさるの芸を楽しんで頂ける努力を一層して参ります」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)
【話題】猿の大道芸でお馴染み『日光さる軍団』さん、公演前の猿の“しつけ”の様子が撮影される
— 閲覧注意(センシティブネタ隔離) (@takigare4) February 5, 2023
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《これ動物虐待では…?》《これくらいしないと言うこと聞かないからしょうがない》《さすがにやりすぎ》観客らに波紋広がる@osaruland_nikko @ARCHE_omiya(会場) pic.twitter.com/gKr84dXHLg