巨人の春季キャンプで第1クール最終日に、山崎伊織、堀田賢慎の両右腕がいずれもコンディション不良で2軍に降格した。
「万全でない状態で1軍にいると、焦ってさらに状態を悪化させる可能性がある」
山崎は昨季20試合登板で5勝5敗、防御率3.14をマーク。最速153キロの直球に加え、スライダー、カットボール、シュートと横の変化で打者を翻弄する。牽制、フィールディングの能力が高く、左の打撃も良いことで知られる。野球センスあふれる右腕はプロ3年目の2023年に大きな飛躍が期待されたが、キャンプ早々につまずく形となった。
堀田はプロ初登板初先発を飾った22年3月31日のヤクルト戦(神宮)で6回5安打無失点の快投を見せ、プロ初勝利をマーク。150キロを軽く超える直球で強力ヤクルト打線をねじ伏せたことで株を上げた。8試合登板で2勝3敗、防御率6.29。まだ粗削りで好不調の波が激しいが、大きな可能性を秘めた大型右腕だ。
「2人はトミー・ジョン手術を受けたという共通点があります。万全でない状態で1軍にいると、焦ってさらに状態を悪化させる可能性がある。ファームでコンディションを整えてもう一度はい上がってほしいですね。昨年の戸郷(翔征)のようなケースもありますから」(スポーツ紙記者)
昨季自身最多の12勝をマークし、今年はWBC本大会に出場する侍ジャパンに選出された戸郷翔征も、試練を乗り越えて今がある。20、21年と2年連続9勝をマークしたが、昨年は春季キャンプから状態が上がらず、2月の実戦で痛打を浴びる場面が目立ってファームに降格。3月2日の春季教育リーグ・西武戦(ジャイアンツ球場)でも3回2失点と、開幕先発ローテーション剥奪の危機を迎えたが、その後に立て直してシーズンでチームの勝ち頭となった。
山崎、堀田は戸郷のように本来の姿を取り戻せるか。活躍してもらわなければ困る両右腕だけに、心技体を整えて今後の奮起に期待したい。(中町顕吾)