「多くの人が使えば、それが規則となり、文法になるわけです」
まず、「○○すぎる」は文法的に間違っているのかについて聞いた。
「文法的とは何かが問題になりますが、多くの人が使えば、それが規則となり、文法になるわけですね。名詞に『すぎる』がつくということなら、夏目漱石の小説にも『珍品すぎる』『好人物すぎる』とあって、昔から珍しくありません。すでに一般的な文法になっています」
となると、「美人すぎる」「天使すぎる」も伝統に当てはまるのだろうか。これについて飯間氏は、
「『すぎる』は、以前は否定的な場合に使うのが普通でした。『珍品すぎる』『好人物すぎる』はマイナス評価なのです。ところが、1980年代になると、プラス評価で『かわいすぎる』などと言う例が増えてきました。対象を肯定しているところが新しい点です。『美人すぎる』もその延長線上にあり、突然現れた言い方ではありません」
と、肯定的な表現に使う例は後から出てきたと指摘する。