「このままでは共産党の衰退が加速する」抱いた危機感 党員・松竹伸幸氏が「党首公選」を訴える理由

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毎日新聞「風知草」でも紹介された「核抑止抜きの専守防衛」

―― そのひとつとして著書で提案しているのが「核抑止抜きの専守防衛」ですね。米国の核抑止以外の通常兵器による抑止を図り、日米安保条約は堅持することを掲げています。

松竹: 私も、どこまで言えるのかすごく悩み抜いたところがあります。毎日新聞のコラム「風知草」(1月23日)では、「国防リアリズム元年」と題して私の本を取り上げていました。筆者の山田孝男さんは、「核抑止抜きの専守防衛」について、「非武装中立論よりはリアルだが、非現実的であることに変わりはない。なぜなら『核抑止は全く無意味』という極論が前提だから」。そういう立場もあるでしょうし、藤田さん(藤田健・赤旗編集局次長)の論文(「規約と綱領からの逸脱は明らか ――松竹伸幸氏の一連の言動について」と題して1月21日の「しんぶん赤旗」に掲載された論説記事。いわゆる「藤田論説」)のように、綱領からの逸脱だ、安保・自衛隊容認だ...みたいな反応もある。1月19日の記者会見では「共通の土俵」と言いましたが、少なくとも(今の共産党の)「安保廃止、自衛隊違憲解消」という立場のままでは議論に参加できないけれども、(「核抑止抜きの専守防衛」であれば)議論に参加できる政策としてはありうる。本当だったら共産党にとっても、十分受け入れられるものだと思います。

―― 党首公選の持論は、いつ頃から発信しているのですか。

松竹: 故・萩原遼さん(編注:「しんぶん赤旗」元平壌特派員。北朝鮮問題で党を批判したり、党とは異なる見解を公表したりしたとして、05年に除籍された)が、著書「朝鮮と私 旅のノート」(文春文庫、00年)で党首公選に言及しています。党内でも、そういうことを考えて発表する人はいたわけですね。自分が初めて党首公選制について書いたのは21年の総選挙の後です。このままでは共産党もさらに衰退が加速していくばかりだと思ったときに、安保・自衛隊の議論をしようと思いました。ですが、共産党は何十年も今の路線でやってきたわけで、1961年に綱領改訂で大論争して以降、その大きな路線を変えるような経験はないわけです。だから、綱領を作ったときに近いような大きな議論をしないと駄目で、そのためには党首公選しかないだろう、と思いました。ですが、萩原遼さんが20年前に言っても誰にも注目されなかったように、私が言っても「そんなこと言ってる人はいるよね」という程度で終わるでしょうし、みんなだって「志位さんの路線でOK」となるだろうし、ましてや立候補する人はいないだろうし、みんなが共感しないような言い方をしていては何の影響もないと思いました。そこで、党首公選と合わせて、自分が立候補すると言うしかない、となったわけです。

―― 党内で議論が起こっていることを広く知ってもらうには、党首公選が唯一の方法だ、と思い至ったということですね。

松竹: そうですね。政治・外交委員会の責任者を務めていた山根隆志氏が毎日ブログを読んでくれていて、22年4月頃「大胆だね。いいね」と言ってくれたので、「選挙になったら推薦人になってよ」と話していたところでした。5月に事故で亡くなってしまいましたが...。山根氏のように、きっと党内でもそれなりの受け止め、反響があるだろうと思って準備してきました。
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