「このままでは共産党の衰退が加速する」抱いた危機感 党員・松竹伸幸氏が「党首公選」を訴える理由

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「100%の正解」と「全然正解ではない答え」があるわけではない

かつて勤務した共産党の前で「シン・日本共産党宣言──ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由」(文春新書)を手にする松竹伸幸さん
かつて勤務した共産党の前で「シン・日本共産党宣言──ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由」(文春新書)を手にする松竹伸幸さん

―― 内部の議論が可視化されず、「閉ざされた感」が国民に伝わってしまっているところはありそうですね。

松竹: まあそうでしょうね。総選挙のことで言うと、田村さん(田村智子政策委員長)のツイッターの問題ですよね。「野党としての共産党なら良いけれど、政権に関わったらどうなるの?という不安は、私たちの想像を超えて広がった」という書き込みです。私が所属している支部でも「その通りだ」と、すごく歓迎されて話題になりました。でも、あの書き込みは一夜で消されてしまいました。可視化される部分が「支持されるようなことではない」というか...。田村さんは、なぜそんなことを言ったのか、その根拠を明らかにする必要があると思いますし、党として「党の見解を統一する」ということで撤回させるにしても、「田村さんの見解は間違っているから撤回させる」といった説明が必要だったと思います。  誰にとっても物事を選択するときは、何か「100%の正解」と「全然正解ではない答え」があるわけではなくて、どっちが正しいのか悩みながら答えを出しているわけで、仮に一方に決めたとしても、選ばなかった別の見解にも、やはり多少の根拠や正当性がある。そういったところが見えないと、「特定の見解だけ(しか持っていない)」みたいに国民には見られてしまいますよね。

―― 21年衆院選の「限定的な閣外協力」という説明は有権者にとって分かりにくく、自民党からは「立憲共産党」と揶揄されました。共産党としては他の野党とは違う確固としたものがあって、本来は「水と油」なのに、むりやりくっつこうとした、という印象を与えたのかもしれません。「どこまで歩み寄れるか」についての議論をオープンにしていれば、多少は違った印象を与えたかもしれません。

松竹: 共産党の側にしてみれば、自分たちの立場を脇に置いて...ということで、相当な譲歩をしたというつもりがあります。それなのに、共闘について自分たちが予想したような前向きな反応がないことに、すごく不満があったんでしょうね。共産党の内部からは、当時の志位さんは、すごく高揚していたと聞きました。少なくとも「政権に共産党が入る、入らない」という議論を立憲としているわけですから。志位さんにしてみれば、共産党の100年の歴史の中で、「次の選挙で政権を取りに行く」と言える党首は自分1人、自分が初めて、というわけですね。安保・自衛隊で立憲とは一致しない部分があるわけで、別に政権を取りに行くということでなければ、もうちょっと議論を続けるという選択だってあったわけです。ですが、「政権を取りに行く」と打ち出すことを決めてしまったものだから、身動きが取れない状況になってしまいました。意見が違ったまま、「政権を取りに行く」と言わざるを得ない。そこの落とし穴を麻生さん(麻生太郎・自民党副総裁)に突かれてしまったし、国民にはバレてしまった。こういったところが大きかったと思いますね。
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