アメリカでは日本に先回りして問題発生
米BuzzFeedは、2023年中にOpenAI社のAIをコンテンツ制作の肝にすると報じられている。流出したジョナ・ペレッティ最高経営責任者(CEO)の社内文章では「AIを使ったコンテンツが研究段階から当社の中核ビジネスの一部となる」と意欲を見せ、クイズなどへの活用を想定しているとする。
文章では「インターネットの過去15年間が、コンテンツを収集してレコメンドするアルゴリズムによって定義されたとすれば、次の15年は、AIとデータがコンテンツ自体の作成、パーソナライズ、アニメーション化を支援することによって定義されるだろう」とも記している。米紙ウォールストリート・ジャーナルは、ペレッティ氏が「経費削減のため、低品質のコンテンツを作成するためだけに、AIに頼る選択をしたデジタルメディア企業は、AI技術を誤って使っている」と会議で発言したと取り上げている。
問題を引き起こしたケースもある。米CNETは22年11月から秘密裏に77本の金融サービス系の記事をAIに書かせていたが、誤りや盗用が疑われ、1月中旬に釈明する事態となった。
米TheVergeは、検索結果の上位を狙ったSEO目的のアフィリエイト(成果報酬型)記事でAIが活躍していたと考察し、「冷笑的に見ると、AIを導入することは完全に理にかなっている(中略)AI はコンテンツ作成のコストを下げ、クリックごとの利益を増やす」と皮肉った。アフィリエイトは、例えばクレジットカードや住宅ローンの比較記事を通じ、読者が提携企業のサービスに申し込めば媒体社は手数料を得られる。
米TheVergeによれば、AIの専門家の中には「AIのライティングツールが安価で簡単にコンテンツを生成できることから、AI文章が徐々にウェブを支配し、読者を特定の製品やウェブサイトに押しやるためだけに作られた文章で検索結果やソーシャルメディアを汚染する可能性がある」と予測する人もおり、ネットの情報環境の悪化が懸念される。