日本小児科学会が2023年2月3日までに、エナジードリンクを原因とする子どものカフェイン中毒疑いの事例を公表した。カフェインの過剰摂取はたびたび問題となっており、国も注意喚起している。
エナジードリンクの表示に関するガイドラインを定める全国清涼飲料連合会は取材に「現時点においては必要な情報をお示しできていると考えておりますが、新たな知見が得られた場合などは適宜見直しを検討してまいります」と答えた。
自販機で購入「見た目が魅力的だった」
事例は日本小児科学会の学会誌(23年1月発行号)に掲載された。ウェブでも公表している。
発症したのは、8歳の男児だった。近所にある自動販売機で500ミリリットルのエナジードリンク(カフェイン210ミリグラム入り)を買い、一気に飲んだ。エナジードリンクを飲むのは初めてで、「見た目が魅力的であったために購入した」。すると1時間半後に吐き気をもよおし、5時間以上治まらなかった。緊急外来を受診したところ「カフェイン中毒疑い」と診断され、翌日には症状はなくなった。
小児科学会によれば、カフェインの過剰摂取は嘔吐や動悸、けいれんを引き起こす恐れがあり、場合によっては死に至る。2015年には、エナジードリンクを日常的に飲んでいた20代の男性がカフェイン中毒で死亡したと報じられている。
子どもはカフェインへの感受性が高く、症状が長引く可能性があるという。厚生労働省や農林水産省も注意を促しており、カナダ保健省は4~6歳は最大45ミリグラム/日、7~9歳は最大 62.5ミリグラム/日、10~12歳は最大85ミリグラム/日までにするよう具体的に提言している。上記の男児はこの基準の3倍超を摂取したことになる。
小児科学会は、カフェイン中毒予防のため、次の5点を提案している。
・カフェイン摂取量の目安や中毒量に関する正しい知識について啓発する。
・カフェイン含有量が多い飲み物に関しては、自動販売機での購入ができないようにし、購入できる年齢制限を設ける。
・エナジードリンクには、本児のように意図せず摂取しまうことを防ぐために、カフェイン量に関する情報(カフェイン含有量や年齢別摂取最大量など)を大きく表示する。(原文ママ)
・エナジードリンクの缶を小児が選ばないような絵柄にする。
・飲料に含有されるカフェイン量自体を減らす。