「被害者が2度3度も苦しむ負の連鎖を変えたい」
――「事実であったとしても私刑は暴力と紙一重」という意味を具体的にお伺いできますでしょうか。
キクチさん:個人情報をさらせば、ネット上では簡単に消えません。賠償金の支払いなどにも大きな影響を及ぼします。SNSではスシローや回転寿司にはもう行かないなどと言うネガティブな投稿も多数ありました。私刑は加害者を苦しめるだけでなく、最終的に被害者が苦しみます。
――投稿に共感する声も上がっている一方で、一部からは「晒しがあるから抑制することが出来るのも事実」といった声もありました。こちらはどのようにお考えでしょうか。
キクチさん:確かに迷惑行為をした彼らが自らSNSに投稿したので、それが拡散して世間から批判を受けるのは仕方ないです。しかし、被害を受けた店側が損害賠償金や刑罰を求めても、裁判で加害者側が「ネット上でこれだけ叩かれて個人情報もさらされた。社会的制裁を加えられた」と訴えて認められれば、罪が軽減する場合もあります。
次に損害賠償請求をしても、個人情報のさらし行為があったせいで、仕事は厳しいでしょう。あれだけ企業に損失を与えた彼らをどの企業が就職させるか。特に飲食業界では務められないと思います。親の仕事をさらして仕事を奪ってしまったら、損害賠償金の支払いはどうやってするのか。
私刑をした人たちの大半はその場のストレス発散ですが、被害者は損害は残ります。結局、被害者が2度3度も苦しむ負の連鎖を変えたいと思います。