大手回転寿司チェーンで撮影された迷惑行為が問題となる中、拡散された動画に映る人物の個人情報を「特定」し、それを広めようとする動きも出ている。
こうした状況を受け、殺害予告や誹謗中傷に長年苦しんだタレントのスマイリーキクチさんが、「例え事実であったとしても私刑は暴力と紙一重です。個人情報の拡散や学校への抗議、家族の晒し行為は危険です」とツイッターで注意喚起した。
キクチさんは2023年2月1日、J-CASTニュースの取材に対し、今回の件について「真偽不明であっても瞬く間に拡散する。そして拡散=事実として認知する人たちの多さに恐怖を感じました」と訴えた。
本名、学校名、SNS...迷惑動画めぐり進む「特定合戦」
回転寿司チェーン店内での迷惑行為を撮影した動画の拡散が続発している。
「はま寿司」では、他の客が注文した寿司を勝手に食べる動画や、レーンの上を流れる寿司に無断でわさびを乗せる動画が拡散。「くら寿司」では、一度取った寿司を再びレーンに戻す動画が拡散し、「スシロー」でも、しょうゆ差しや湯呑を舐めまわす動画が拡散した。
一連の迷惑行為を受け、それぞれの運営会社が警察に相談したり、被害届を提出したりする事態になっている。SNS上では「回転寿司、行きづらくなった」などのコメントが相次いだ。
そんな中、動画に映っている人物の個人情報を特定したなどとする投稿もSNS上に書き込まれた。真偽は不明なものの、本名や学校名とされる情報や、本人のものだとする写真などが広がったほか、本人とされるSNSのアカウントなども見つかり拡散された。
こうした事態を受けて、「個人情報の拡散や学校への抗議、家族の晒し行為は危険です」と注意喚起を行ったのが、キクチさんだ。
キクチさんは1999年、ネット上で身に覚えのない事件の犯人だと決めつけられ、殺害予告や誹謗中傷を受け続けた。その後2009年、脅迫などの容疑で複数人が立件されたという。キクチさんは、こうした経験を踏まえて全国で講演なども行っている。