給湯器の画面内で雪だるまたちが踊り始めた――ツイッターでこんな投稿が話題になった。今季最強の寒波によって冷え込んだある日、給湯器が凍結予防のために作動した際の出来事だという。アニメーションでは、足の生えた雪だるまが登場し、帽子を着脱しながら軽快に踊る。
J-CASTニュースの取材に対し、給湯器メーカーの広報は2023年2月1日、「特殊な状況下でしか見られないアニメーションで設計担当者も驚いている」と話す。
寒い日に目撃される謎のアニメーション
あるツイッターユーザーが1月25日、知人宅の給湯器の機能が面白いと紹介した。自動的に立ち上がった給湯器が機器本体の凍結を予防するための「凍結予防運転」を始め、その際に雪だるまのアニメーションが流れ出したという。
実際の動画も添えられたこの投稿が、2月1日19時までに、1万3000回以上リツイートされ、3万7000件以上の「いいね」を集める大きな反響を呼んだ。リプライ欄には「すばらしい遊び心だな」などと驚く声が寄せられている。
同様のアニメーションは、2017年1月16日にもツイッターで紹介されている。同年の「最強寒波」が流れ込んだ日だ。
これらの投稿に対しツイッターでは、東京ガスが2008年に発売した浴室リモコン「IBR-A08A-BGISV」のアニメーションではないかという指摘が寄せられた。説明書によれば、冬期に「凍結予防運転」を行うことがあり、その際にアニメーションが表示されることがあるという。
取材に対し東京ガスの広報担当者は、廃盤となった商品で詳細は分からないが、製造元なら分かるかもしれないと話す。当時、東京ガスの子会社だったガスターが製造したもので、ガスターは現在、リンナイの連結子会社となっている。J-CASTニュースは、リンナイの広報担当者を通して当時の設計担当者にアニメーションを採用した背景を取材した。
激レアな表示条件
取材に対し、リンナイの広報担当者は、東京ガスから発売された「IBR-A08A-BGISV」と、リンナイブランドとして発売された「MC-180VC」で見られるアニメーションだと述べる。どちらも現在は廃盤で、現在販売中の製品では見ることができないという。
アニメーションを採用した理由について次のように説明する。
「凍結予防運転時は寒い冬の時期にしか動作しないため、このアニメーションもめったに見る機会がないものです。開発を担当した(株)ガスターのデザイナーが、寒さが厳しい時でもお客様に楽しんでいただける瞬間を作りたいという想いで、このアニメーションを採用しました」
広報担当者によれば、特殊な条件が重なったときにしか見られないアニメーションだとして、関係者たちは目撃できた人がいたことに驚いているという。そもそも凍結予防運転は、極度に寒い日でなければ作動しない。
「製品に搭載された温度センサー(サーミスタ)が外気温を検知しています。この値が一定値を下回った際に凍結予防運転が開始されます。この凍結予防運転では、製品内部のヒーターが作動して製品内部を暖めたり、ポンプを駆動させることによって、配管の水が凍らないようにしています」
この動作は一定の間隔を設けて行われるため、寒い日に常に動いているわけではない。さらにリモコンの電源をオフにしているときに限り、雪だるまのアニメーションが始まるという。
広報担当者は「寒い日に給湯器を切ったまま浴室に行く機会は少ないでしょうし、作動するほど冷え込むのは朝か夜であることが多いので、実際に見ることができるのはかなりレアです」と話した。
アニメーションは、ブロードウェイミュージカル「コーラスライン」のフィナーレ「One」をイメージして作成したという。
「生み出してから既に10年以上が経過していますが、令和の時代に注目され驚きと共に大変うれしく思っています」
(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)
今朝、給湯器(?)が凍結防止運転してて、お風呂場の画面覗いたら、雪だるまがなんかしてた pic.twitter.com/8DnBZIgR7t
— たっこ (@Tacco_71) January 16, 2017