未成年なら保護観察の可能性...保護者に損害賠償も
威力業務妨害罪と器物損壊罪に問われる可能性があるとする具体的な理由を、正木氏はそれぞれ次のように説明した。
「威力業務妨害罪に該当する要件は、(1)威力を用いること、(2)他人の業務を妨害することです。(1)の『威力』とは、人の意思を抑圧するに足りる程度の勢力を指し、具体的な暴力行為や脅迫文言がない場合でも、意思決定の変更を生じさせる行為は、威力に該当することがあります。
今回問題となっている行為は、醤油さしや湯呑みを舐めて元のあった場所に戻す行為、レーンで回っている寿司に唾を付ける行為で、いずれも、お店の提供する衛生的な安全性を害する行為であり、清潔な醤油さしや湯呑みに取り換えたり、レーンに流れている商品を回収したり等を行う意志をいやおうなしに働かせることになります。このように、今回問題の行為は、人の意思を抑圧するに足りる程度の勢力を用いたものと評価でき、威力を用いたものといえます。
(2)の業務妨害は、実際に業務を妨害することのみならず、業務を妨害する危険性を有する場合も該当します。お店としては取替作業や回収作業という本来なら不要な作業に時間を割く分、商品の提供に遅れを生じさせる危険性を有するので、業務を妨害する危険性を有するといえます。よって、威力業務妨害罪に該当する可能性があります」
「器物損壊罪の『損壊』とは、物理的に使用不可能な状態にする行為のみならず、精神的に使用不可能な状態にする行為も含みます。
醤油さしや湯呑みを舐める行為は、物理的に使用不可能にする行為ではないですが、赤の他人の唾がついた醤油さしや湯飲みを使いたくないと思うのが自然ですから、精神的に使用不可能にする行為に該当します。よって、器物損壊罪に該当する可能性があります」
ただ、当該男性については高校生だと伝える情報もツイッターで出ており、未成年の可能性もある。その場合は保護処分とされ、保護観察に処される可能性が高いと正木氏は述べる。また保護者については、「未成年者の監督義務者の責任として不法行為に基づく損害賠償を請求される可能性があります」。