大手回転寿司チェーンで撮影された利用客による迷惑行為の動画がSNS上で拡散されるケースが相次いでいる。はま寿司では、レーンの上を流れる寿司に箸を伸ばして勝手に食べる動画や、他の客が注文した寿司に無断でわさびを乗せる動画が拡散。くら寿司では、一度取った寿司を再びレーンに戻す動画が拡散し、スシローでも、しょうゆ差しや湯呑を舐めまわす動画が拡散している。
こうした迷惑行為を受け、運営会社が警察に相談したり、被害届を提出したりする事態になっている。なぜ、回転寿司での迷惑行為が相次いでしまうのか。J-CASTニュースは2023年1月30日、回転寿司評論家・米川伸生氏に詳しい話を聞いた。
「#寿司テロ」「#回転寿司テロ」
回転寿司の度重なる迷惑行為。注目を集めたのは、はま寿司を利用した若い男性客がレーンの上を流れる寿司に無断でわさびを乗せる動画だ。「他人握りわさび乗せ」というテロップが入ったこの動画がSNS上で拡散し、運営会社のゼンショーホールディングスは警察に被害届を提出したと報じられた。この動画以外にも、他の客が注文した寿司を勝手に食べる動画も拡散している。
くら寿司でも、若い男性客が一度取った寿司を再びレーンに戻す動画が拡散。4年前に撮影されたと思われる動画だとし、警察に相談する方針であることが報じられた。
スシローでも、同様の迷惑行為の動画が広がった。利用客がしょうゆ差しや湯呑を舐めまわして元の位置に戻したり、レーンの上を流れる寿司に唾をつけた指で触ったりする動画が注目を集めた。運営会社のあきんどスシローは1月30日、「早急に警察と相談させていただきながら刑事民事の両面から厳正に対処してまいります」と公式サイトで発表している。
こうした一連の回転寿司の迷惑動画は、SNS上で大きな注目を集めており、「誰かの唾がついてるかもしれないという恐怖で使えなくなるの悲しい」「正直、今は回転寿司が大好きな私もちょっと気持ち悪くて行きたくない」などの声が相次いでいる。ツイッターでは「#寿司テロ」「#回転寿司テロ」などのハッシュタグを使った投稿も見られる。
なぜ、回転寿司での迷惑行為が相次いでいるのか。回転寿司評論家・米川伸生氏は1月30日、取材に対し「働き手不足と人件費を抑えるため、省人力化が進行しており、それにより人目が減ったせいもあり、不正が起きやすい状況を企業側が自ら作り出してしまったことが大きな原因ではないか」と指摘する。
「人目がない状況では不正が起きるのは想定できる」
米川氏は「人目がない状況では不正が起きるのは想定できる」とし、「省人力化は企業側のメリットは大きいが、客側にはデメリットしかないということが露呈した」と分析。企業は不正が起きにくい環境を新たに構築する必要があると述べた。
タッチパネルが導入される以前、回転寿司へのクレームは「注文品が届かない」「注文品が遅い」「注文品が間違っている」といったものが多かったという。これらを解決するためにタッチパネルと特急レーンを開発・導入したと、米川氏は説明する。給茶機も同様に、客のクレームを解決するために進化してきたとしている。
今回相次いでいる回転寿司の迷惑行為に関し、不正が起きない状況を機械で作り出すことは十分に可能だとしつつも、米川氏は「開発されるまでに時間は当然かかるし、莫大な費用が発生するため、企業としては頭が痛いところだろう」と述べている。