「登山文化」が生かされている
ヤマップは、みまもり機能の仕組みを次のように説明する。
登山者のGPS位置情報は、電波が繋がる場所ではYAMAPサーバーに自動送信されている。さらにアプリを利用するユーザー同士がすれ違うと、お互いの位置情報を交換する仕組みもある。
電波が届かない場所では、すれ違ったユーザーのどちらか一方がオンラインになったときに、双方の位置情報がYAMAPに届く。
「直接すれ違った相手だけでなく、相手が山行中にこれまでにすれ違った全ての人の情報を交換できるため、利用者が増えるほど、位置情報が多く集まります。
この情報を家で待つ家族に送っているのがみまもり機能です。警察や消防など救助機関と連携することで、山岳遭難時の救出可能性の向上を期待できます」
サーバーに保存された位置情報は、公的機関(警察・消防)から情報提供の依頼があった場合には提供することがあるが、みまもり機能の通知先以外には開示されず、30日経過後に自動的に削除するとしている。
位置情報を交換する機能は、山ですれ違った人に「こんにちは」と挨拶する文化を土台にしている。万が一のとき、「誰とどこですれ違ったか」という記憶や情報は捜索に役立つ。この仕組みを近距離無線「Bluetooth」で再現したのが「こんにちは通信」で、アプリ利用者がすれ違うと通知がくる。当初は利用者同士の交流に用いられていたが、利用者の声を受けて進化した。
2018年ごろ、ユーザーから「知り合いが山で遭難してしまった。捜索の手がかりになる情報がYAMAPにあがっていないか」という相談が相次ぎ、無力感を覚えた開発者が改良を行ったという。位置情報を交換する仕組みを持たせることで、圏外にいる登山者の情報を得られるようになった。