税外収入からなる防衛力強化資金をどのように確保するか
政府方針は、今国会で防衛力財源確保案を提出することからもわかる。その中で43.0兆円程度の水準を達成するとしている。ただし、財務省が提示している財源確保は40.5兆程度だ。
その内訳を言えば、2022年度当初予算5.2兆円をそのまま5年間継続したとして25.9兆円。そのほか、歳出改革で3兆円強、決算剰余金の活用で0.7兆円程度、防衛力強化資金で4.6~5兆円強、税制措置(防衛増税)で3.1~3.5兆円程度で、計14.6兆円程度。実は、防衛力整備水準43.0兆円程度のうち防衛増税を含む財務省提示の予算総額は40.5兆円であり、2.5兆円はまだ足りていない。
これについては様々な工夫を行うとされている。今のところ、防衛増税は、とりあえず5年間で3.1~3.5兆円程度である。しかし、様々な工夫がないと、これが5.6~6.0兆円程度になるかもしれない。さらに、歳出改革や決算剰余金の活用はかなり財務省の意のままにできる数字でもあるので、9.3~9.7兆円程度になる可能性も否定できない。
税外収入からなる防衛力強化資金をどのように確保するかが、防衛増税のポイントになる。2024年度から防衛増税になる予定だが、歳出改革等が予定通り行かないなどの理由を財務省なら簡単に見つけられる。その場合、4年間で3.1~6.0兆円程度の増税になる。
この増税をぶっ飛ばすには、60年償還ルールを廃止し、11回も前例のある2023年度予算にある債務償還費の繰入停止で相当分16.4兆円を防衛力強化資金へ繰り入れることだ。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。