岸田文雄首相の施政方針演説など政府4演説に対する代表質問が2023年1月25日午後、衆院本会議で始まった。立憲民主党の泉健太代表がトップバッターに立ち、いわゆる「防衛増税」をめぐる問題で衆院の解散と総選挙を迫る場面もあった。
代表就任直後に「政策立案型」を掲げた泉氏だが、22年夏の参院選の敗北を受けて「対決型」にシフトしたとみる向きもあった。今回の代表質問では、防衛増税を批判する一方で、「時代の変化に即した質の高い防衛力の整備を立憲民主党が現実的に訴えている」とも主張。立憲が掲げる政策を紹介して政策立案能力をアピールしながら、「必ずやこの政権交代を果たす」と決意表明した。
「国の防衛に責任を持つ政党」、政策を「国民の皆様にぜひご覧をいただきたい」
泉氏は、防衛費増額のプロセスについて
「冷静で合理的な積み上げを描き、現場の負担を考慮することもなく、一気呵成に決めたことは大きな問題」
などと問題視。立憲が「国の防衛に責任を持つ政党」として、22年に外交安全保障戦略の方向性を発表したことを紹介し、「国民の皆様にぜひご覧をいただきたい」とアピールした。立憲に「現実的」な政策があるからこその批判だと主張した。
「時代の変化に即した質の高い防衛力の整備を立憲民主党が現実的に訴えていることをご理解いただけると思う。だからこそ、額ありき、増税ありきの岸田政権には失望している」
続けて次のように述べ、防衛増税を争点に解散総選挙に踏み切るように求めた。
「防衛増税を行うならば、解散総選挙で国民の信を問え。総理、お答えください。国民の皆さん、野党6党も防衛増税に反対です。力を合わせて、防衛増税に反対をいたしましょう。そしてもし、総理がその方針を変えないなら、解散総選挙でその防衛増税反対の意思を示そうではありませんか」
岸田氏は後の答弁で、
「何についてどのように国民の信を問うかについては、ときの内閣総理大臣の専権事項として適切に判断していく」
と述べるにとどめた。
「この提案はいかがでしょうか。見解を求めます」
財政政策でも、立憲の政策を紹介しながら政府の見解をただす場面があった。泉氏は、現在の状況について
「too big, too risky。大きすぎ、危険すぎる状態ではないのか」
と指摘し、立憲は独立財政機関「経済財政等将来推計委員会」を立ち上げて政府の財政運営が持続可能かを検証する仕組みを提案していることに言及。「この提案はいかがでしょうか。見解を求めます」と呼びかけた。
岸田氏は、政府では経済財政諮問会議で議論を行っているとして、「引き続きこの体制のもとで適切な政策運営を行っていきたい」と否定的な見解を示した。
泉氏は次のように「政権交代」に言及して質問を締めくくった。
「私は皆様の先頭に立って、自民党政権のこの法案や予算をただし、立憲主義や政策ビジョンを実現してまいります。私達は、政権を担える力をつけ、必ずやこの政権交代を果たす。その決意をお伝えし、質問を終わります」
ただ、防衛増税に批判が集まる中でも、野党の支持率は伸び悩んでいる。例えば朝日新聞が1月21、22日に行った世論調査では、立憲の支持率は6%。12月の調査から1ポイント下落している。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)