「悔し涙がボロボロ出た」 手足3本ない体で山登り、8時間かけ登頂も...僕が喜べなかった理由

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山頂に着いた時はめちゃくちゃ悔しかった

   時間との闘いでもありました。僕の体では登るスピードが遅く、他の登山者にどんどん抜かれました。中学生か高校生の部活動の子供たちもいました。すごい速さで抜かされて、悔しく情けなくなりました。下山中の人とすれ違った時は「頑張ってください」と声を掛けてもらいました。力が出たけど「もう山頂に着いて下りてきているのか」と思うと焦りも感じました。

   日没までに登り切れるかどうか、というくらい時間が過ぎていきました。朝スタートして、日が沈む16時半ごろをリミットに考えていました。当初の想定では3時間で登って3時間で下りるつもりだったけど、ようやく登頂したのは約8時間経った夕方でした。

   山頂に着いた時はめちゃくちゃ悔しかったです。悔し涙がボロボロ出ました。景色に感動したし、達成感もあったけど、それ以上に自分の不甲斐なさで喜べなかった。同行してくれた皆さんをはじめ、サポートしてくれているいろんな人への「ありがとう」と「ごめんなさい」の両方で涙が止まらなかった。自力で下山もできなくて、ロープウェイで下りました。もしロープウェイがなかったらどうなっていたんだろう。

   「こんなはずじゃなかった」と思いました。想像していた自分の姿ではなかった。登れない自分、刻々と過ぎていく時間。日常生活では10年以上義足で歩いているし、急坂も上ってきたし、段差も上がれる。バランスを崩しそうになっても、登山のために作ってもらったストックつきの義手がある。「やってきたことと持っているものを組み合わせていけば登れる」。そう思っていたけど、全然登れませんでした。

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