日本航空(JAL)の国内線を飛ぶ大型機が、あと半年ほどで完全に世代交代することになりそうだ。JALが2023年1月17日に発表した国内線の便数計画で、ボーイング777-200ER型機が23年度上期中に退役することが明らかになったからだ。
777型機の後継にあたる大型機のエアバスA350-900型機の導入が進んだためで、これでJALの国内線から777型機は姿を消すことになる。777型機のうち、国内線で最後まで活躍していた777-200ER型は、コロナ禍で需要が減った国際線から「異動」してきた機体。上級座席の「クラスJ」では、国際線のビジネスクラスで使われていたフルフラットシートが使えるとして、高い人気を誇っていた。具体的な退役時期は改めて発表するとしている。
日本とシンガポールやバンコクを結んできた機体
日本の航空会社が導入した777型機は大きく4種類。標準型にあたる777-200型と、航続距離を伸ばした777-200ER型(ER=extended range)、その全長を長くした777-300型、その長距離版の777-300ER型だ。JALでは1996年に777型機がお目見えし、777-200型と777-300型はすでに退役している。777-300ER型は国際線で運用が続く。
今回退役が発表された777-200ER型は、2002年に国際線向けに導入が始まった。16年から「SKY SUITE」(スカイスイート)と呼ばれる新座席に取り換えられ、ビジネスクラスにはフルフラットシートを備えている。日本とバンコク、シンガポール、ホノルルなどを結ぶ主に中距離路線で活躍してきたが、コロナ禍で国際線の需要が激減し、一部は国内線で運用されてきた。
1000~3000円の追加料金でフルフラットに乗れる
そのため、国内線に比べてハイスペックな国際線仕様のシートが体験できると人気を呼んだ。特に、「クラスJ」の場合、1000~3000円の追加料金(当日アップグレードの場合)でフルフラットシートが利用でき、「お値打ち」だという声も出た。312席のうち26席しかなく、予約が取りにくいことも多い。
現時点で運用されている777-200ER型は3機。いずれも02~03年に導入された「20年選手」で、老朽化が進んでいた。後継にあたるA350-900型は19年に導入が始まり、現時点で16機が運用されている。
JALでは23年度から、エアバスA350-900型機の全長を長くしたA350-1000型が、順次国際線にお目見えする。これにともなって、国際線で運用されている777-300ER型の退役が進む見通しで、JALの大型機はボーイング機からエアバス機に完全に入れ替わることになる。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)