サッカー韓国代表FW曹圭成(チョ・ギュソン、24)の去就に地元メディアが注目している。曹は昨年11月に行われたサッカーワールドカップ(W杯)カタール大会に韓国代表として出場し、2つのゴールを決める活躍を見せ大会後は海外クラブ移籍に意欲を見せた。
韓国プロリーグの全北現代に所属する曹は昨季17ゴールを挙げリーグ得点王に輝いた。年間ベストイレブンにも選出され、韓国のエースとしてW杯カタール大会に臨んだ。
W杯後インスタフォロワー100倍増
カタール大会ではグループステージ第2戦のガーナ戦で、0-2で迎えた後半13分にゴールを決めると同16分には強烈なヘディングシュートで同点とした。チームは2-3で黒星を喫したが曹の2ゴールは世界に強烈なインパクトを与えた。
曹の注目度は急上昇しインスタグラムのフォロワー数は爆発的増加を見せた。大会前は2万から3万人だったフォロワーが1月17日現在291万人にまで増加。プレーだけでなく容姿も注目を集める要素の一つのようで、曹については、複数の日本メディアも「イケメン」などと報じた。
地元メディアによると、スコットランドリーグのセルティックFC、ドイツ・ブンデスリーガのマインツ、米プロサッカーリーグのミネソタ・ユナイテッドFCなどが曹に興味を示したが、現時点で移籍は決まらず全北現代残留の方向にあるという。
韓国主要メディア「朝鮮日報」(WEB版)は1月18日に「『記者の視点』チョ・ギュソンはなぜ国内に残ったのか」とのタイトルで記事を公開した。
記事によると、セルティックとマインツは曹の獲得に積極的で具体的な移籍金を全北現代に提示したもののクラブ側が提案を受け入れなかったと指摘。クラブは「選手の意思を尊重した」とコメントしたという。
「選手の未来に投資しようとする認識がない限り...」
国内リーグ最多優勝を誇る名門・全北現代は今季王座奪還を目指している。昨季の得点王であるエース曹はチームにとって欠かせぬ存在ということもあり、サッカーファンからは「クラブは残留説得に重みを置いたのではないか」との声が上がっているという。
同メディアは、曹のような若い選手が海外経験を積むことは選手個人、韓国サッカーの競争力向上に重要なことであると主張し、W杯カタール大会でドイツ、スペインを破り旋風を巻き起こした日本は選手の海外進出を積極的に奨励していると解説した。
そして、「クラブが目の前の利益と成績だけを重視し選手の未来に投資しようとする認識がない限り韓国選手が海外進出の機会をつかむことは容易ではないだろう」と締めくくった。
韓国では現役の代表選手から自国サッカー界の変化を望む声が上がっている。「東亜日報」(WEB版)によると、韓国代表MF黄仁範(ファン・インボム、26)がW杯カタール大会決勝トーナメント1回戦でブラジルに敗れた直後に韓国サッカー界に苦言を呈したという。
黄は「日本と同じ成績を出したからといって(韓国が)日本と同じ環境にあるとは思わない」とコメントし、「日本やより良いチームのようにワールドカップで良い姿を着実に見せるには多くのことが変わらなければならない」と主張。黄は22年に国内リーグのFCソウルからギリシャリーグのオリンピアコスFCに移籍した。