「『最新型の戦闘機を見せてやる』と言われて見に行ったら...」
一方で、中国側が透明性に欠けるという点にも言及した。「なぜ日本は中国をそこまで怖がるのか」という質問に答える形で、
「中国のことを過度に恐れるのは、おそらく中国の陸海空、人民解放軍の戦力をきちんと分析していないから、そういうことが起こるのではないか」
と応じた。その上で、
「中国も、もう少し軍事に対するトランスペアレンシー(透明性)を高める努力はすべきだと思っている」
とも指摘した。「透明性」のなさを示すエピソードとして紹介したのが、03年9月に防衛庁長官として訪中した際の出来事だ。温家宝首相や曹剛川国防部長(いずれも当時)と会談し、軍の施設も視察したが、「中国は人民解放軍の陸海空の戦力をほとんど明らかにしてくれませんでした」。当時の中国側のやり取りを
「『最新型の戦闘機を見せてやる』と言われて見に行ったら、ミグ21があったのには、すごくビックリしました」
と明かした。すぐ横にいた通訳が聞き返すと、当時の感情を交えながら改めて説明した。
「『最新型の戦闘機を見せてくださーい』という風にお願いしたら、ミグ21という戦闘機を見せられました。すごーい古い戦闘機で、すごくびっくりしました。ばかにすんじゃねえよ」
ミグ21は1950年代後半に旧ソ連が開発。中国では1960年代から、ミグ21の図面を元に「殲撃7型」(J-7)を製造してきたことが知られている。
石破氏によると、中国側は戦車の視察でも似たような対応をした。日本の軍事雑誌に載っている中国の最新型の戦車の写真を見せて、その戦車を見せるように求めたところ、「そんな戦車、我が国にはない」と言われたという。
こういった経緯を踏まえて、石破氏は
「やはり、トランスペアレンシーをもっと高めていただかないと、日本国における中国脅威論が高まるばかり。そこは中国にも努力をお願いしたいところ」
と話した。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)