プロボクシングの元WBA世界スーパーバンタム級暫定王者ライース・アリーム(米国、32)が井上尚弥(大橋、29)に宣戦布告した。米ボクシング専門メディア「ボクシングシーン」(WEB版)が2023年1月13日に報じた。
アリーム「井上は真のチャンピオン」
昨年12月に世界バンタム級4団体王座統一に成功した井上は1月13日、同4団体王座を返上してスーパーバンタム級に転向することを発表。スーパーバンタム級初戦に注目が集まる中、元同級暫定王者アリームが対戦相手に名乗りを上げた。
米国ボクシング専門メディア「ボクシングシーン」(WEB版)は1月13日、「アリームは井上尚弥との対戦を望んでいる:井上に最初の黒星を付ける!」とのタイトルで記事を公開した。
アリームは21年1月にWBA世界スーパーバンタム級暫定王座を獲得。その後WBAが暫定王座を廃止したため正規王者と王座統一戦を行うことなく「暫定王者」の肩書が外れた。現在の世界ランキングはWBO同級1位、WBC、IBFともに4位につけている。戦績は20戦全勝(12KO)。
同メディアの取材に対してアリームは「井上尚弥に初めて黒星を付ける選手になりたい」とアピールし、「井上は真のチャンピオンであり、現在のスーパーバンタム級のチャンピオンとは異なりあらゆる相手と喜んで対戦してきたボクサーだ」とリスペクトした。
さらに「井上に対戦を呼びかけているのは俺だけだ。みんな怖がっている。『モンスター』と『ビースト』どちらが怖いか。2人の無敗記録をかけて戦おうじゃないか」と呼び掛けた。
マネジャー「これは非常に実現可能な戦いだ」
アリームのマネジャーを務めるグレッグ・ハンリー氏は「アリームはレジェンドになる準備ができている。そのためにはレジェンドを倒す必要がある。私たちは(井上陣営と)話し合う準備ができている。これは非常に実現可能な戦いだ。ファンが見たい試合を与えよう」と対戦実現へ前のめりの姿勢を見せた。
同メディアは、アリームはスーパーバンタム級で最高の選手のひとりだが、22年はビッグマッチに恵まれず彼をイラつかせたと解説した。昨年アリームがリングに上がったのは9月に行ったWBO北米タイトル戦(判定勝利)だけだった。
現在スーパーバンタム級には2人の世界王者が君臨している。WBC・WBO同級王者スティーブン・フルトン(米国、28)とWBA・IBF同級王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン、28)だ。
海外メディアの報道によると、フルトンは2月25日に米ミネソタ州ミネアポリスでWBC世界フェザー級暫定王座決定戦に出場する見通しで、WBC同級正規王者レイ・バルガス(メキシコ、32)の動向を含め暫定王座決定戦の結果次第ではWBC・WBOの2つの王座を返上する可能性もある。
一方のアフマダリエフは、IBF同級1位マーロン・タパレス(フィリピン、30)と指名試合を行うことで合意しており今春にも開催される。
バンタム級4団体の王座を返上した井上は、これまでの実績が評価されスーパーバンタム級で各団体の世界ランキング上位にランクされる可能性が高く、バンタム級のスーパー王者に認定されたWBOでは1位にランクされる見通しだ。フルトンが王座を返上した場合、王座決定戦出場の権利を獲得する可能性が高い。