日本航空(JAL)が、旅行積立商品を「オンラインでの取り扱いを前提」にした形で2023年度中をメドに衣替えすることになった。旅行積立商品は大手旅行会社や航空会社が売り出しており、毎月、あるいは一括払いで資金を払い込むと、満期時に利息にあたる「サービス額」を上乗せした金額の旅行券を受け取れる仕組み。
最初の1年はサービス額が3%に及ぶ場合もあり、長く続いてきた低金利を背景に、旅行者の間では人気がある商品だった。ただ、送られてくる旅行券は「紙」で、支払いが不便だとの指摘も出ていた。
ウェブサイトで予約して紙の旅行券を書留で送る
JALの旅行積立は06年に発売。ウェブサイトでは、その魅力について
「最初の1年間サービス額率3%。積立1年後から満期まではサービス額率2.5%」
とうたっている。
満期後に受け取れる旅行券は、国際線・国内線のJAL航空券やツアー、系列ホテルでの宿泊や飲食、機内販売品の購入などに使える。ただ、「紙」での支払いは煩雑だ。例えば、ウェブサイトでの予約が一般的な航空券を購入する場合、専用窓口に書留郵便で利用者負担で送るか、空港や市内にあるカウンターに持ち込んで支払う必要がある。空港以外の発券カウンターは、東京・有楽町、宮古島市、石垣市の3か所のみだ。
現行の旅行積立は、23年2月28日17時に新規契約の募集を終了し、23年度中をメドに新しい積立商品を売り出す。すでに現行商品を契約している人は予定通り積み立てを続けられ、満期後に紙の旅行券を受け取れる。
JAL広報部は、新規募集終了の背景として、紙の旅行券の「迅速性・利便性」の低さを挙げている。
「2006年より多くの皆様にご利用いただいておりますが、昨今のオンライン化が進んだ販売環境において、『紙』の旅行券による精算では、迅速性・利便性に劣るため、より時代に即した新たなサービス投入をすることとしました」
利回りは「現行との比較は一概にはできませんが...」
新たに売り出す商品は「オンラインでの取り扱いを前提としております」としている。利回り(サービス額)の変化については次のように説明しており、現時点では不明だ。
「サービス額はコンセプト含め全く新しい商品として設計するため、現行との比較は一概にはできませんが、利便性は格段に向上する見込みです。詳しいサービス内容につきましては、確定次第お知らせいたします」
現在主流となっている形の旅行積立の先駆けはJTBで、1985年に販売を開始。3か月で20万件以上の申し込みが殺到するヒット商品になった。2003年には、満期時の払い戻しを紙の旅行券から「バンクカード」と呼ばれるカードに切り替えている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)