暴露系ユーチューバーのガーシーこと東谷義和参院議員(51)が、2023年3月上旬に滞在先のドバイから帰国するとインスタグラムの動画配信で明言し、常習的脅迫などの疑いがかけられたとされる捜査の行方に関心が集まっている。
この時期は、国会の会期中で、議員にはいわゆる「不逮捕特権」が与えられている。例外的な逮捕はありうるのかについて、検事出身の弁護士に話を聞いた。
国会出席を巡り、参議院事務局「東谷氏の主張が書かれた回答が報告された」
東谷氏はこれまで、芸能人らの裏話だとしてユーチューブの動画配信などを続け、物議を醸してきた。22年7月の参院選には、NHK党から立候補して当選したが、「帰国すれば逮捕される」などと主張して、これまで一度も国会に姿を見せていない。
新聞などの報道によると、警視庁は23年1月11日、複数の著名人らからの告訴を受理し、暴力行為等処罰法違反(常習的脅迫)や名誉毀損などの疑いで関係先数か所の家宅捜索に踏み切った。会社事業からの撤退を求める言動もあったとして、強要や威力業務妨害の疑いもかけられているとも報じられている。
これに対し、東谷氏は翌12日、3月上旬に帰国するとインスタグラムの動画配信で明かし、国会に出席することや警察の事情聴取要請を受けることも明言した。
NHK党の立花孝志党首も同日、東谷氏の帰国を認め、東谷氏が警察の事情聴取にも応じると会見で明かした。東谷氏は参院総務委員会に所属しており、立花党首は、3月末ごろに開かれる総務委が初陣となる見通しを示して、予算審議の際に、NHK会長に質問をぶつけると予告した。何らかの暴露を期待してのことだとみられている。
東谷氏について、参議院事務局の広報課は1月13日、J-CASTニュースの取材に対し、23日に召集される国会への出席を巡って、13日の参院議会運営委員会理事会で東谷氏の主張が書かれた回答が報告されたと明らかにした。参院では、国会に出席するよう東谷氏に促し、議運の委員長が釈明を求めており、それに回答した形だという。
「ドバイに行ってしまえば、捜査が暗礁に乗り上げる」
東谷氏にかけられている容疑について、元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は1月13日、取材に対し、次のような見解を示した。
「今回は、常習的脅迫というのが1つのポイントになると思います。1回だけの脅迫なら、起訴猶予か罰金ですが、常習性の証拠が固められますと、悪質だと判断されます。2つ目は、動画配信などを通じて、そこそこの収入が入ってくる構図が明らかにされれば、その利得性から相当に悪質だとみなされます。金の動きを調べるのが得意な警視庁の捜査2課が動いているということですので、大きな犯罪の構図を描いている可能性はあるでしょう」
国会議員については、例外を除いて、会期中は逮捕されないことが憲法などでうたわれている。例外とは、参議院議長が逮捕に許諾したときと院外での現行犯だ。
「容疑は逮捕案件になりえますが、国会の会期中は難しいでしょう。それは、罪名からして国会の許諾案件になじまないからです。贈収賄や詐欺なら分かりますが、イレギュラーすぎると思います。逮捕するなら、国会が終わってからの7月以降ぐらいになるでしょうね」
とはいえ、国会の閉会前に、東谷氏がドバイに戻ってしまうことも考えられる。
「ドバイに行ってしまえば、捜査が暗礁に乗り上げてしまいます。その前に逮捕を考えるとすれば、ドバイに逃亡する恐れを挙げて捜査当局が国会に許諾を求めることもありえるかもしれません。あるいは、院外での現行犯とするため、常時監視したうえで家に踏み込むことも可能性としてはあります。ただ、暴行の現行犯なら分かりますが、ネット上での脅迫行為に対しては、イレギュラーな捜査になってしまうと思います」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)
(1月16日10時20分追記)指摘を受け、記事の一部を修正しました。