サッカー元日本代表MF天野純(31)のクラブ移籍騒動が韓国で物議を醸している。
天野は昨季J1横浜F・マリノスから蔚山現代に期限付き移籍した。リーグ戦30試合に出場して9ゴール1アシストをマークするなどチームの17年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献。天野は今季も韓国リーグに戦いの場を求め、全北現代に期限付き移籍が決まった。
「天野は私が会った日本人のなかで最悪」
移籍騒動の発端となったのは蔚山現代の洪明甫(ホン・ミョンボ)監督(53)の発言だ。複数の地元メディアが2023年1月11日、洪監督が移籍の過程で天野に「約束」を破られ激怒していると伝えた。
地元メディアによると、洪監督は昨シーズン終了後に天野が日本に帰国する前に口頭でクラブ残留を「約束」したとして、「天野が私に嘘をついて全北現代に行った」「天野は私にお金は構わないから残留すると話した」「天野は私が会った日本人のなかで最悪」などと怒りをぶちまけた。
これらの報道を受けた天野は12日のチーム練習後に地元メディアの取材に応じ、洪監督の発言を真っ向から否定した。
地元通信社「聯合ニュース」(WEB版)によると、天野は洪監督に「クラブに残る」と言った事実を認めつつ、「洪監督は私が嘘つきで、お金を選んで移籍をしたと言ったが全く事実と違う」と訴えた。
昨季リーグ優勝を果たした蔚山現代と韓国リーグ最多優勝を誇る全北現代が長年ライバル関係にあることから、地元メディア「NEWSIS」(WEB版)は、天野の移籍過程をめぐり両クラブの感情が激しくなっていると伝えた。
洪監督はライバルクラブの蔚山現代の監督に就任
同メディアは過去に国内のライバルクラブに移籍した例を挙げながら今回の騒動を解説。最も有名な事例として元韓国代表MF徐正源(ソ・ジョンウォン)氏(52)の移籍を挙げた。
徐氏は韓国リーグ安養LGでプロデビューを果たし、98年にフランスリーグのRCストラスブールに移籍。フランスで1年間プレーした後、韓国に復帰したが古巣・安養LGではなくライバルクラブの水原サムスンに入団したことで物議を醸し、徐氏のユニフォームが燃やされる出来事まであったという。
このような過去の事例もあり今回の天野のライバルクラブ移籍は韓国サッカー界で大きな注目を集め、今季予定される蔚山現代対全北現代戦は「天野ダービー」としてさらなる関心を集めると解説した。
また、天野を痛烈に批判した洪監督もライバルクラブの移籍とは無関係ではないとし経歴に言及。洪監督は現役時代、国内では浦項スティーラーズ一筋でプレーし、引退後は同クラブの監督になると多くの関係者が予想したが、21年にライバルクラブ蔚山現代の監督に就任したと指摘した。