「切腹」や「自決」は「議論のためのメタファー」で済むのか
その上で、三島由紀夫が行ったような切腹が「いい筋」だとする持論を展開した。
「ここで僕たちが議論すべき大義は、いわば、この高齢化して延々と生き続けてしまうこの世の中をどう変えて、社会保障などという問題について議論しなくてもいいような世界を作り出すか、ということだと思う。そのためには、かつて三島由紀夫がした通り、ある年齢で自ら命を絶ち、自らが高齢化し老害化することを事前に予防するというのは、いい筋なのではないかと...」
さらに、切腹が「クールジャパン」戦略になりうる、とも主張した。
「ここにいらっしゃる皆さんのような傑出したエリート、リーダーの方が次々と切腹をするような日本社会になったら、ただの社会保障政策であるだけではなくて、最強のクールジャパン政策にもなるはずで、世界に再び日本のプレゼンスを発揮する良い方法なのではないか」
成田氏は、老人ホーム検索サイト「みんなの介護」に22年2月末に掲載されたインタビューでは、「切腹」や「自決」という単語は「議論のためのメタファー」だとしている。その具体像にはグラデーションがあり、大きく3つのレイヤー(階層)があり得る、と説明。過激な順から「三島由紀夫がやったような文字通りの切腹」「例えば尊厳死の解禁や一定以上の延命措置への保険適用を見直すことなど」「世代交代」を挙げたが、その優先順位には言及しなかった。
成田氏の発言には、いわゆる「老害」批判に同調する向きがある一方で、(1)命に序列をつける優生思想につながる(2)太平洋戦争、とりわけ沖縄戦で多くの犠牲者を出した「集団自決」の歴史を軽んじている、といった批判が多く寄せられている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)