高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
異次元の少子化対策で「消費税増税」あるのか 背後に潜む「財務省の思惑」を読み解く

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財務省の思惑

   財務省から見れば、政治課題なので無視することはできない。しかし、どうせ政治要求が来るのであれば、それを逆手にとることを考えているはずだ。

   そこで、少子化増税だ。人口を増やすために増税とはちょっと意表をついているが、少子化対策には安定財源をという例のフレーズだ。その財務省の思惑をつい口にしたのが、甘利明前幹事長だった。本人は、趣旨は違うのに一部を切り取られたと弁明しているが、いかにも脇が甘かった。財務省にとっても、本音が漏れたので焦っただろう。

   財務省の戦略は、少子化対策について多くの政治家から語ってもらう、ただし財源論抜きでは語らせないというものだ。そして、最終的な取りまとめ段階になったら、政治家のいう少子化対策にはエビデンスがないと理由をいい、大幅に換骨奪胎するが、安定財源論だけはしっかり残して少子化増税に持っていくのだろう。少子化対策は広い意味での社会保障になるので、社会保障財源である消費税増税にもっていくのが目に浮かぶ。これはあってはならない。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。


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