障害者手帳持つ人の「貸出サービス」投稿が波紋 厚労省「制度の趣旨に反している」も...「制限難しい」理由

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   障害者手帳を持つ人とその介助者が受けられる文化施設などの「入場料割引サービス」の使い方をめぐり、ツイッター上で波紋が広がっている。

   手帳を持っているというあるユーザーが、自分と同行すれば施設の割引を受けられる「貸出サービス」を始めると投稿。これに対し「本来の使い方とは違う」「良識の範囲での利用を」などと疑問の声が上がった。厚労省の担当課はどう考えるのか、取材して話を聞いた。

  • 障害者手帳の使い方を巡って論議に(写真はイメージ)
    障害者手帳の使い方を巡って論議に(写真はイメージ)
  • 障害者手帳の使い方を巡って論議に(写真はイメージ)

「介助者が割引を主体利用するためでもない」と説明

   美術館や水族館などの施設では、障害者手帳を持つ人とその介助者を対象に、入場料などの割引サービスを行っている。人気の水族館として知られる「沖縄美ら海水族館」(沖縄県本部町)では、手帳を持つ人と介助者1人までの入場料が無料だ。

   2023年1月、手帳を持っているというあるツイッターユーザーが、自分と同行すれば施設の割引が受けられるとし、自分を「レンタル」できるサービスを始めると告知した。

   この投稿は大きな反響を集め、様々な意見が寄せられた。「良いアイディアだと思う」などと理解する声が出る一方、「本来の使い方とは違いますよね」「福祉制度は良識の範囲での利用を」といった意見があり、刑法に引っかかる可能性も指摘された。

   ユーザーは、営利目的でも介助者が割引を主体利用するためでもなく、自らが色々な人に会うためだと説明し、投稿の趣旨に理解を求めている。

「介助者は、障害者に近しい家族や友人、医療機関の人が大前提」

   家族や友人、医療関係者などではない第3者が割引を利用するのは、何か問題になることはないのだろうか。

   この点について、厚労省の精神・障害保健課は1月11日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように答えた。

「障害者手帳は、精神疾患を持っている人に付与し、各方面からの援助を受けて、この方が社会復帰をしたり自立できるようにしたりすることが目的です。介助者は、家族や友人、医療機関の人といった障害者に近しい人というのが大前提で、投稿のような手帳の使い方は、制度の趣旨に反していると認識しています」

   一方で、誰が介助者に該当するのか、という定義については、次のような認識を示す。

「ただ、介助者の定義というものはなく、ダメだと言い切れないのが今の状況です。一概に制限をかけるのは難しいと考えています」

   それでも、「こういったことが増えてくれば、手帳の使い方について検討しないといけない」と明かした。また、今回のようなケースが継続的、組織的に行われれば、警察が動いて何らかの罪の問われる可能性があるともした。

   J-CASTニュースでは、今回の投稿者にも取材を申し込んだが、取材は受け付けていないとの回答だった。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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