福岡・北九州市で開かれた「二十歳の記念式典」で、振り袖に墨汁のような液体をかけられる被害が相次いだという報道を受け、墨汁メーカー・開明(かいめい、さいたま市)は2023年1月10日、一般的な布に墨汁がついた場合の「落とし方」を投稿した。
今回の被害報道を受け、創業125年の老舗は「メーカーとしては寂しいし悔しい」「墨汁を嫌いにならないでください」と思いを伝えている。
「汚して迷惑かけるために作ってません」
報道各社によると、23年1月8日に開催された「北九州市二十歳の記念式典」で、振り袖に墨汁のような液体をかけられる被害が相次いだ。
1898年(明治31年)創業の老舗墨汁メーカー・開明は9日、「墨汁をネガティブなニュースで見たくなかった。メーカーとしては寂しいし悔しい」とツイッターに投稿。「紙に書くものであって汚して迷惑かけるために作ってません」と伝えた。
翌10日には「昨日の悲しい事件でお問い合わせを多数いただいた」と明かし、一般的な布についた墨汁の「落とし方」が書かれた説明文を投稿した。同社は投稿に際し「墨汁を嫌いにならないでください」と呼びかけ、「墨汁は正しい使い方でご使用ください」と利用者への注意喚起を行っている。
同社は「墨は何百年と作品が残る為に落ちないように作られていますので、完全に落とすことは難しい」と説明。さらに「着物は繊細なものなので一般の洗濯方法とは異なります」と続け、一般的な布に墨汁がついた場合の対処方法として、「中性洗剤とご飯を混ぜ合わせたもの」と「歯磨き粉」を局所的に擦り洗いすることを推奨した。この方法で「汚れが薄くなり目立たなくなります」としつつも、「場合によっては汚れが広がってしまうこともありますので、慎重に行ってください」と付言している。
着物の場合は「お金がかかってでも対応してもらう形がベスト」
開明の10日の投稿は、11日14時までにツイッターで2600件以上のリツイートを集めるなど注目を集め、「墨汁に罪は無い」「墨汁は悪くない。悪用するヤツが悪い」などの声が相次いだ。また、墨汁の落とし方については「この情報、子が小学生の時に知りたかった」などのコメントが寄せられている。
開明は11日、J-CASTニュースの取材に対し、10日に投稿した「墨汁の落とし方」は「着物ではなく一般的な布に関する説明です」と改めて説明した。なお、着物の汚れを落とす場合は「一般的な布に関する洗濯方法で行うと、墨汁が広がったり染み込んでしまいます」とし、「早い段階で墨汁を拭き取り、専門の業者やクリーニング屋さんに、お金がかかってでも対応してもらう形がベストだと思います」と答えている。