子供を立たせて乗せることができるショッピングカート「キッズステップカート」が、ツイッターで「画期的」「素晴らしいアイデア」などと脚光を浴びた。スーパーでは争奪戦になるほど人気という声も寄せられている。一般的なショッピングカートは子供を座らせるが、なぜ立ったまま乗せる仕様が子連れを魅了しているのか。
J-CASTニュースは2022年1月4日、開発した岐阜県のショッピングカート専業メーカー・スーパーメイトに取材した。
子供の「カートに掴まって乗る」行為がヒントに
キッズステップカートは2018年5月に発売された。子供は2人まで乗せられ、ステップ台には4歳から6歳、幼児用座席には生後12か月から48か月未満の子供が各1人乗ることができる。
カートをつかむハンドルが左右にあり、子供が立ち乗りできるスペースはその間に設けられている。子供がカゴ部分に向かってステップの上に立つと、まるで自分がカートを押しているような目線に届く。
取材に対し、スーパーメイト開発部の武藤叶也さんは、子育て世代の「子供が店内で走り回ってしまう」「(子供同士で)カートの取り合いになる」といった悩みを受けて開発したと説明する。子供が歩き回ると迷子になる可能性もある。子供を楽しませながらゆっくりショッピングできるよう、「立ち乗り」に着目した。
「子供の『カートに掴まって乗る』行為の魅力を汲み取り、ショッピングカートに乗って店の中を移動する楽しいアトラクション感覚を与えることで買い物をしている親御さんと一緒にいられるようにしました」
安全に使えるように何度も試験を繰り返し、専用の規定を設けた SG認定(製品安全協会が定める生活用品の安全性)も取得した。立ち乗り部分の両側に壁を設けたのもこだわりで、子供の安全性を高めるだけでなく、スーパーの宣伝やロゴなどを入れることもできる。
生産が追いつかないほど大好評
ツイッターでは2022年12月24日、利用したとするユーザーが「このカート考案した人、頼むからお礼させてくれ」と写真付きで公開して大きな注目を集めた。このツイートは約220万回表示され、5000件を超えるリツイート、4万件を超える「いいね」が寄せられた。他のユーザーからも次のような共感の声が寄せられている。
「子供を持ち上げてカートに乗せなくていいし、幼稚園児になって小さいカートに乗せられなくなった際は本当に助かりました!」
「押したい!乗りたい!商品を取っていれたい!を両立する素敵なカート」
キッズステップカートは過去にもSNSで話題になっており、2019年には「グッドデザイン賞」を獲得している。
利用者からの「大きくて動かしにくい」「通路幅が狭い店舗では使えない」といった声を受けて、新たに通常のショッピングカートと同サイズの「キッズステップカート mini」も開発したという。
武藤さんは、ショッピングカートは買い物をするための道具であるため、今まで客から直接の感想をもらう機会はほとんどなかったという。この商品では多くの喜びの声が寄せられたとして、「大変嬉しく思っております」と受け止める。売れ行きも好調だそうだ。
「販売台数は発売当初は200台ほど、翌年では4000台ほど。1か月の生産台数が400台ほどですが、追いつかないほどご注文を頂いております」
(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)