中国での新型コロナ感染拡大を受けて各国が水際対策を強化するなか、韓国の仁川国際空港到着後に陽性反応が出た40代の中国人男性が隔離を拒否し、一時逃亡する事案が発生した。
陽性者を乗せたバスが隔離用のホテルに着いた際、誘導係の隙を突いて逃走。タクシーに乗って逃走して別のホテルに滞在していた上、外出もしていた。韓悳洙(ハン・ドクス)首相は、事案を受けて「必要な追加措置」を表明しており、韓国以外でも同様の事案への警戒が必要になりそうだ。
逃走後タクシー拾ってソウルに移動
聯合ニュースなど韓国メディアによると、男性は1月3日に中国人の妻とともに仁川国際空港に到着。到着時の検査で男性のみ陽性判定が出たため、空港がある仁川市の永宗島(ヨンジョンド)のホテルに1週間にわたって隔離されることが決まった。逃走したのは、隔離対象者を乗せたバスがホテルに到着した直後の22時4分頃。ホテルの監視カメラには、バスが駐車場に到着した6分後に、男性がバスから逃走する姿が映っていた。誘導する係はいたものの、逃走を防ぐことはできなかった。
男性はホテルから300メートルほど離れた場所でタクシーを拾ってソウルに移動。タクシーの中からスマートフォンを使って逃走先のホテルを予約した上で妻にも連絡して合流していた。ソウル市中区のホテルに2日間にわたって滞在し、外出もしていたという。警察が男性の身柄を確保したのは、5日の12時55分頃だった。男性は防護服を着せられて隔離用のホテルに移送された。
韓国首相は「必要な追加措置」表明
男性は18年~19年にかけて韓国を5回にわたって訪れ、江南(カンナム)区にある病院で顔の整形手術を受けていた。今回の入国でも、目的を「医療目的」だと申告したものの、この病院への訪問は確認されていないという。
仮に起訴されて有罪が確定すれば、1年以下の懲役刑や1000万ウォン(約105万円)以下の罰金刑を宣告される。それ以外に、出国命令を受けたり、今後の韓国入国が制限されたりする可能性もある。
韓国では、中国から到着した人に対して、2日から到着後のPCR検査を求めているのに加えて、5日から搭乗前にも陰性証明書(PCR検査は48時間、抗原検査は24時間以内)の提示を求めている。韓悳洙(ハン・ドクス)首相は1月2日に続いて、6日にも仁川国際空港の検疫状況を視察。逃亡事案については「必要な追加措置」を行うと述べた。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)