「ファンを財布として考えてはいけない」
食パンソファベッドはこのように、前任者の思い付きとSNSの盛り上がりが生み出した商品だった。八木さんは前任者の仕事を次のように評す。
「開発担当者がSNSで意識していたのは、『ファンを財布として考えてはいけない』ということです。ファンが多いほうが売り上げを上げやすいが、ファンの財布に手を突っ込むような行為は良くないと考えていました。交流の中でファンアートなども寄せられ、一緒に楽しんでいました。仕事というよりも本当に楽しんでいたように思います。そういった盛り上がりが、遠回りに売り上げや知名度につながり、今のセルタンがあります」
さらに八木さんによれば、出向先のベトナムでも食パンソファベッドに興味を持つ人がいるとし、「かわいい家具」に可能性を感じている。
「今では、家具屋らしい正統な家具だけを作るのではなく、世間で話題のかわいい要素を取り入れた新しい家具の形も、海外の高級家具屋などにはない、日本らしい家具として需要があるのではないか考えています。
パンや目玉焼きといった身近なモチーフは、『なにこれ!?パンじゃん』『目玉焼きついてる、朝ご飯かな?』などと、海外でも面白がっていただけます。『かわいい』という普遍的な感覚で生まれた商品で、海外も盛り上げていきたいです」