マイナビは2022年12月27日、約3年前に公開した記事を巡り、監修したITジャーナリストに無断で改変をしていたとして、「関係各位に重ねて深くお詫び申し上げます」と謝罪した。
記事は学生向けのパソコンを紹介する内容だったが、読者から不適切との指摘が寄せられていた。
『Atom』『Celeron』『Pentium』がオススメ
問題の記事は、「中学生向けパソコンのおすすめ5選|はじめてのパソコンに【ITライター厳選】」と題した記事だ。記事の日付は「2022年12月8日更新」と書かれている。
ITジャーナリストの鈴木朋子氏が監修し、中学生向けパソコンの選び方のポイントにCPU(中央演算処理装置)の処理速度、メモリとストレージの大きさ、サイズや重量、Microsoft Officeの有無の4点を挙げる。
具体的には、「中学生なら、ネットで調べものをしたり、自由研究をWord文書で作成したりといった用途がメインに考えられるので、インテル製の『Atom』『Celeron』『Pentium』などのCPUでも不便は感じないでしょう」「ストレージにはHDDとSSDがあります。HDDの方がファイルの読み書きに少し時間が掛かるときがありますが安価ですし、中学生が使用するには差し支えないでしょう」などと説明し、条件を満たした5商品を紹介した。
・「ASUS(エイスース)『Chromebook C425TA』」
・Microsoft(マイクロソフト)『Surface Laptop 4』
・FUJITSU(富士通)『FMVUXE3B LIFEBOOK UH-X/E3』
・Dell(デル)『Dell Inspiron 15 3502 Laptop』
・Lenovo(レノボ)『Yoga Slim 750i』
記事末尾には、「記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります」とあり、いわゆるアフィリエイト(成果報酬型)記事とみられる。
「いつの時代の知識でしょうかね」
記事は12月中旬ごろからツイッターで注目された。
「今どきATOMとは」「このITライターさん、いつの時代の知識でしょうかね」「何年前の記事だよ。。って思ったら最近」と情報の古さが多数指摘され、鈴木氏に批判が向かった。
当の鈴木氏は、こうした反応に「私への確認なく編集が重ねられているため、現在事実確認を行っています」「抗議しておきます。ありがとうございます」と返答している。
記事のキャッシュを調べると、もっとも古い時点で2020年6月22日更新と書かれたデータが見つかった。ツッコミが相次いだ記事は、少なくとも1年半以上前に公開されていたことになる。
タイトルは「【2020年】はじめてのパソコンに! ITライターに聞く中学生のパソコンおすすめ1選」と2022年12月8日更新の記事と異なり、内容や構成も若干の違いがある。2021年1月20日更新版は「【2020年】ITライターに聞く中学生のパソコンおすすめ3選|はじめてのパソコンに!」に変更され、情報をこまめに追加、修正したようだ。
いずれの版も記事の初出日は明示されていない。いわゆるSEO(検索エンジン最適化)対策では、真偽不明なもののコンテンツのタイムスタンプが評価の対象とされる。複数の情報サイトでは「重要なのは記事の公開日よりも最終更新日です」「更新頻度の高いサイトはSEO的に有利になります」などと指南している。マイナビもSEOを重視し、一つの記事を繰り替えしアップデートした可能性がある。
マイナビは12月27日になって謝罪文を公表した。問題の記事は、2019年3月18日に公開していたという。
2022年12月8日までの間に、鈴木氏に無断で内容や更新日付を変更し、掲載開始日の記載も漏れていた。22年12月の時点で鈴木氏が記事作成、監修したかのような誤解を与えたとして、「読者の皆様および鈴木氏に心よりお詫び申し上げます」と謝罪。記事はすでに削除している。
「不適切な更新を原因とする本記事の内容に関しては、鈴木氏に非はなく、当編集部に責任があります」と責任の所在を明らかにし、「記事内容の確認を強化・徹底し、再発防止に努めてまいります」としている。