「年収1000万円は遠い過去!」 バス運転士の給与をド直球発信...なぜ?京都市交通局に聞く背景

過去に好待遇が批判の的に

   1999年9月の朝日新聞の記事「京都市バス運転手の37%が年収1000万円超す 市議会委/京都」によれば、"1000万プレーヤー"が批判の的となった過去がある。

   他の自治体でも、同様の待遇でコストカットを迫られたケースは少なくないようだ。

「市バス運転手『年収1000万超』693人 累積赤字抱える/神奈川」(1997年、朝日新聞)
「神戸市バス 運転手3割年収1000万超 高い年齢層手当かさむ 平均収入、民間の1.8倍」(2007年、神戸新聞)

   大阪市では、2012年に当時の橋下徹市長が「市の交通局のバス運転手が、今までとち狂ったような給料で生活していた」と累積赤字を抱える中での厚遇を問題視し、民間並みの大胆な引き下げを進めた。

   京都市の経営ビジョン策定でのパブリックコメントでは、「市バス・地下鉄運転士の給与が全国平均と比較すると極めて高い」「自分達がこれだけ大幅に給与削減をしました、と表していただいて初めて市民も運賃値上げに同意できるのではないか」と、給与水準の高さや、情報開示の不十分さを指摘する声が少なくなかった。

   一方、「コロナ禍において、市民の生活の足を守り続けてくれた地下鉄職員、市バス職員には感謝しかない。経営状況が改善し、安定した時には給料の引上げなどをしてほしい」「一般的な民間企業と同程度の水準からさらに職員の給与を引き下げるのは反対。給与水準が下がると人が集まらなくなる」と慎重な見方もある。

   経営ビジョン検討委員会の有識者の間でも、

「一般の方には交通局職員の給与が高いというイメージが刷り込まれている(中略)20 数年前からそうした批判があり、現在は交通局の努力によりかなり改善してきたが、こうしたことは伝わりにくいので,これまでの成果と併せて改めて説明する必要がある」
「人件費の抑制について記載するのであれば、これまでかなりの人件費を抑制してきたという実績をしっかりデータとして示すべきである(中略)。私としては、人件費の抑制についてはあまり強調してほしくない。それは、人件費をカットすれば経費を抑制することができる一方で、優秀な人材が集まらないということになり、大きな損になるわけである」

と議論になった。

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