鉄道ファンが鉄橋のフェンスに脚立をロック錠で固定して置いていたことに対し、JR東日本側が別のカギを付けて警告文を付ける措置を行ったことが話題になっている。
この鉄橋では、直前に人の線路立ち入りがあり、同社の社員が巡回して脚立を見つけた。同社によると、鉄道ファンはその後、脚立を取りに来て厳重注意を受け、謝罪したという。
「脚立は列車妨害に使用される恐れ」
「最近、列車に対する危険な行為が頻発しております」。警告文は、この書き出しから始まっている。
警告文が脚立にくくり付けられた写真は、2022年12月23日にツイッターで投稿された。
文面では続いて、「この脚立は列車妨害に使用される恐れがありますので、線路を管理しているJR東日本金町保線技術センターでカギをかけさせていただきました」と明かした。脚立は、同センターまで連絡すれば開錠して持ち主に渡すとしており、連絡がない場合は、27日にダイヤルロックを切断したうえでセンターに保管すると告げている。
実際、チェーンや青いワイヤーが緑色のフェンスに脚立を固定するように巻かれており、どちらかがJRのカギらしい。
警告文には、フェンスの下に放置された脚立の写真が添えられており、赤字で23日10時47分撮影とあった。
写真の投稿者は、東京都葛飾区内のJR常磐線・亀有―金町両駅間にある中川橋梁で撮ったと説明している。
この日は、朝に両駅間で線路立ち入りが発生し、電車が緊急停車するトラブルがあり、ネット上では、それと関係があるのではないかとの推測も出ていた。
JR東日本首都圏本部の広報ユニットは26日、J-CASTニュースの取材に対し、23日8時26分ごろ、中川橋梁の線路脇で男性の線路立ち入りがあり、上野発仙台行きの臨時団体列車「カシオペア紀行」の運転士が気づいて緊急停車したと話した。
線路立ち入りの男性と同一人物かは分からないというが...
線路に立ち入った男性は、カメラを持っていたかどうかは確認できていないという。その後、線路外に出たため、カシオペアは、安全を確認したうえで、20分後に運転を再開している。このトラブルで、上下線で4本が運休し、9本が最大20分遅れて、約1万3000人に影響が出た。
再開後に、JR東日本の社員が中川橋梁のフェンスに被害がないか巡回して確認したところ、10時50分ごろになって、脚立1台が放置されているのを見つけたという。
警告文で、脚立の持ち主に連絡するよう呼びかけたところ、12月24日10時ごろに、若い男性が脚立を引き取りに葛飾区内の金町保線技術センターを訪れた。脚立は、走行する列車の写真を撮るために持ち込んだとの説明だった。JRでは、脚立を線路脇に置くとしたら危険だと男性に注意し、男性は、ロック錠までかけたことを謝罪したという。
カシオペア紀行は、電気機関車が客車12両をけん引している。それが鉄道ファンに人気があるようで、23日は、赤い機関車を先頭にしたその写真がツイッターでいくつも投稿されていた。
脚立が放置されたフェンス下は、JRの敷地内で、立ち入ってはいけない場所だという。線路立ち入りの男性と同一人物かどうかについては、JRでは、分からないとした。脚立放置自体は、電車運行への影響がなく、事件性もないと判断して、警察には通報していないとしている。
今後については、巡回を強化するほか、脚立などを線路脇に置くことは危険だと呼びかけると説明した。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)