鍵修理業者から「KURE 5-56」は鍵穴に使うなと念を押された――。SNSでこんな注意喚起が広まっている。
5-56は、呉工業(東京都目黒区)が販売する防錆や潤滑などに効果的なスプレー。「あらゆる金属ですぐれた性能を発揮します」とうたうが、メーカーは取材に、鍵穴は故障の恐れがあると頷く。
「年末の大掃除で使おうかと思ってた」
「KURE 5-56」シリーズは、「あらゆる金属の防錆・潤滑、電気系統の除湿・防湿、電気接点の清浄など、さまざまな用途ですぐれた性能を発揮します」と標榜する万能スプレーだ。俳優・寺田心さんのCMでも知られる。
人気漫画家の洋介犬さんは2022年12月21日、ツイッターで、鍵修理業者から5-56の注意点を伝えられたと報告した。鍵の調子が悪いため修理してもらったところ、「5-56は鍵穴にさすな」と再三忠告されたという。具体的な問題点は明らかにしていないが、「多分カギ業者さんもうんざりしてるほどみんな556さすんでしょうね~」と何らかのトラブルにつながると示唆している。
投稿は23日現在までに1300万インプレッション(表示回数)、1万3000リツイートと多くの目に留まり、「年末の大掃除で使おうかと思ってた」「以前住んでいた家の大家さんは556使ってたので、それが正しいと思ってました」と驚きが広がっている。
呉工業は23日、J-CASTニュースの取材に、「弊社でも以前は5-56を勧められたのですが、現在は様々な形状の鍵穴があって対応が難しく、別の商品をおすすめしています」と答えた。
ディスクシリンダー錠のようなシンプルな構造であれば問題ないものの、ディンプルキーなど複雑な構造だと、油分でホコリや汚れが鍵穴内部に堆積する可能性があるという。
商品サイトのQ&Aページでも注意が必要な旨を知らせており、複雑な構造の鍵穴は「鍵が正常に作動しなくなる場合がありますのでご使用はお控えください」と呼びかけている。代替品には、速乾性が特徴の潤滑スプレー「ドライファストルブ」を挙げる。
適切なメンテナンス方法は?
鍵大手の「美和ロック」も、「鍵穴に、油や市販の合成潤滑油(CRC、シリコンスプレー)などをさすのは絶対おやめください。油に埃がつき鍵穴内部で粘着するため、すぐに作動不良になり、故障の原因になります」と自社サイトで忠告している。
鍵が抜けにくい、差しにくい時はどうすればいいのか。美和ロックは「掃除機を鍵穴につけ、左右にふって、中のゴミを吸い出します」「鍵も、古い歯ブラシ等で軽く掃除しましょう」「メーカー指定の潤滑剤を鍵穴に少量スプレー、もしくは鍵の切り込みを鉛筆で強めに黒くなぞり、数回鍵穴に抜き差しましょう」と3つの手順を紹介している。
同じく鍵メーカーのユーシン・ショウワは、「長期間、清掃しないままにしておきますと、表面に付着した汚れは、しみや腐食の原因となります。汚れが軽いうちに清掃してください」と定期的なメンテナンスをサイト上で呼びかけている。目安は、少なくとも月に1~2回だという。特に海岸地帯や交通量の多い道路沿いは、塩分や排気ガスで汚損が進みやすく、こまめな手入れを推奨する。
カギの調子がしごく悪かったので業者さんに修理してもらったのですが、やはりあのお言葉を連呼されていたので共有しておきます。
— 洋介犬 (@yohsuken) December 21, 2022
「556は鍵穴にさすな」
「556を鍵穴にさすな!」