豊島区「ヨドバシ反対」騒動、市民から問い合わせ殺到 ネット拡散「ビックカメラ忖度説」は否定

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   東京都豊島区が、百貨店「西武池袋本店」の低層階にヨドバシカメラが出展することに反対した騒動で、区には60件もの意見が直接寄せられた。

   「池袋が家電量販店の街になってしまうのは悲しい」と賛同がある一方、「ヨドバシを差別するな」と叱咤もあったという。

  • 写真:アフロ
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  • 高野之夫区長(豊島区ウェブサイトより)
    高野之夫区長(豊島区ウェブサイトより)
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「池袋を愛するが由に、豊島区長まで登りつめた」

   セブン&アイ・ホールディングスは2022年11月、子会社「そごう・西武」をソフトバンクグループ傘下の米投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループ(FIG)に売却すると発表した。

   FIGはヨドバシカメラを運営するヨドバシホールディングスをパートナーとし、そごう・西武が展開する全国10の百貨店とのシナジー(相乗効果)を模索する。

   豊島区にある旗艦店「西武池袋本店」の低層階(1~4階)にヨドバシカメラが出店する可能性も報じられており、これに高野之夫区長(84)がNOを突き付けた。

   12月14日の会見で、「ヨドバシさんがこういう形で私に言わせれば仕掛けてきた」と強い不快感をにじませ、「将来の街づくりを考えると、低層部に入ることは絶対に絶対に反対させていただきたい」と真っ向から反発した。

   高野区長は会見に先立ち、西武池袋本店の不動産を一部保有する西武ホールディングス(HD)に嘆願書を送っている。

   1999年から6期に渡って区のトップを務める高野氏。「私は、この豊島区の中心である池袋で生まれ育ち、池袋を愛するが由に、豊島区長まで登りつめたと言っても過言ではありません」との書き出しから始まり、1940年開業で"池袋の顔"である西武池袋本店低層階へのヨドバシ出店は「今まで築き上げてきた『文化』のまちの土壌が喪失してしまいます」と危機感を伝えている。

消滅可能性都市から一転、文化パワーでV字回復の過去

   具体的には、池袋での家電量販店の激化につながり、西武池袋本店に入居する海外ブランドショップの撤退やリピーター、富裕層離れを引き起こすと懸念する。低層階には、ルイ・ヴィトンやシャネル、エルメスなど海外の高級ブランドが軒を連ねている。

   区を巡っては、1999年に財政破綻の危機が発覚し、2014年には東京23区で唯一「消滅可能性都市」に指定されている。その後「持続発展都市」を目標にまちづくりを進めた結果、区の人口と財政がV字回復した経緯がある。

   会見でも「文化を基軸としたまちづくり」に取り組んできたと強調し、今では「池袋を中心に『国際アート・カルチャー都市』と呼ばれるにふさわしい街に発展しました」と成果が示されていた。高野区長は文化戦略の中心を西武池袋本店と位置付けており、ヨドバシ出店は区の100周年を迎える次の10年に悪影響を及ぼすと考えている。

   嘆願書では、西武HDの後藤高志社長に「断固とした立場を貫き通していただき、これからも、『西武池袋本店』の存続に向けて、後藤社長のお力添えを賜りますよう、心よりお願い申し上げます」と協力を求めた。

「ビックカメラさんからの働きかけというのはございません」

   高野区長の反対運動には、賛否両論寄せられている。新聞各社やワイドショーで取り上げられ、全国的な論争に発展している。

   豊島区広報課は20日、J-CASTニュースの取材に、区にはメールで35件、電話で25件の意見が寄せられた(19日16時時点)と明かした。

   賛成派は主に「西武存続という区長の意見に賛成」「池袋が家電量販店の街になってしまうのは悲しい」、反対派は「民間の話に行政が口を出すべきではない」「海外ブランドは文化で、家電量販店は文化ではないということか?」「ヨドバシを差別するな。ヨドバシが入ることを楽しみにしている人もいる」といった主張だった。

   否定的な意見には、「地域の皆様とともに、これまで豊島区、とりわけ地元池袋のまちづくりに長きにわたり貢献してきた西武池袋本店がどのようになるのか、米投資ファンドの計画を報道でしか知ることのできないまちづくりの多様な主体の皆さまからも不安の声をいただいています」と実情を伝え、先の会見は「こうした皆さまの声を受けて、実効性をもって真剣にまちづくりを考えていきたいとの思い」で開いたという。

   今後については「今回の記者会見では、地元の皆さまの声を受け、区が目指すまちづくり方針をお伝えさせていただきました。引き続き、区民の皆さまのご意見を受け止めてまいりたいと存じます」としている。

   なお、SNSではヨドバシの競合であるビックカメラに配慮したのではないかとの見方も広がっている。同社は豊島区に本社を構え、区内に全国最多の6店舗を展開する。創業は群馬県高崎市だが、初の東京進出は池袋で、豊島区は第二の創業の地でお膝元といえる。

   2022年10月には、区と「豊かなまちづくりのためのパートナーシップ協定」を結んだ。高野区長は締結式で「区とビックカメラがこれまで以上に強固な連携をとりながら、豊島区のさらなる価値・魅力の向上に向け、共に取り組んでいきたい」と話していた。

   広報課は、嘆願書にビックカメラは関係なく、「ビックカメラさんからの働きかけというのはございませんし、区として配慮した事実もございません」とネットの憶測を否定した。

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