「1回だけの実験に高価な高分解能撮影機を設置し...」
北朝鮮側の反応は素早く、与正氏は国営メディアを通じて12月20日付で談話を発表。朝鮮語で4000字近い長文で、序盤で「ぺちゃくちゃとしゃべる連中を一発殴りたい気持ちは山々だが、何から言うべきか分からない」と、いらだちをぶちまけた。
カメラの解像度をめぐる指摘には、
「一度、理に合わせて常識的に考えてみろ。誰が830秒に過ぎない1回だけの実験に高価な高分解能撮影機を設置し、実験をするのか」
として、あえて性能が低いカメラを載せたとする主張を展開。発射されたのは弾道ミサイルだとする主張には、
「一度でも事前に何かを発表してみたことがあり、発射体の機種や発射位置を一度でもまともに突き止めたことがあったのか」
と、過去に韓国側が地名を間違えた事例を列挙しながら、探知能力を疑問視した。実験のためでなければ、「屑鉄のような旧型ミサイルをなぜ打ち上げたのか」とした。
周辺国が懸念しているICBM開発についても言及。弾道ミサイルに不可欠な再突入の技術が確立されていないとの指摘には、ミサイル先頭部から送信されたデータを着弾の瞬間まで受信できたとして、すでに確立されていると主張した。
北朝鮮は11月18日に新型ICBM「火星17号」を、高い角度で打ち上げて飛距離を抑える「ロフテッド軌道」で発射している。すでに米本土に届く性能がある可能性もあるが、通常軌道で発射しないと性能は分からない、とする指摘も出ていた。
この点については、
「やってみれば分かることであり、見れば分かること」
「ほらを吹くのはほどほどにし、自重、熟考する方がよかろう」
などと主張。今後、通常軌道で発射する可能性を示唆した。仮に通常軌道で発射すれば米国本土の近くに着弾する可能性もあるが、談話は
「最近の出来事をじっくり振り返ってみろ。われわれがやると言ったことをやりそこなったことがあったのかを...」
という1文で締めくくられている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)