北朝鮮の金正恩総書記の妹で朝鮮労働党副部長の金与正(ヨジョン)氏が、韓国の専門家の分析に「一発殴りたい」などと激怒している。北朝鮮は「偵察衛星開発のための重要実験」を行ったと発表したが、韓国側は準中距離弾道ミサイル(MRBM)だと分析。その性能も疑問視したことに反発した。
与正氏は、今回の発射はあくまで衛星開発のための「実験」だと主張する一方で、開発を進めている大陸間弾道ミサイル(ICBM)にも言及。すでに再突入のための技術は確立しているとしており、米国本土まで届きうる通常軌道での発射も示唆した。
韓国メディア「地球観測衛星としても使えない」「実際の写真とは信じられない」
日韓の防衛当局は2022年12月18日、北朝鮮が2発の弾道ミサイルを発射したと発表。北朝鮮の国家宇宙開発局は国営メディアを通じて、この日に「偵察衛星開発のための最終段階の重要実験」を行ったと発表した。「衛星撮影およびデータ伝送系統と地上管制システムの能力を評価することに基本目的を置いた」として、ミサイルから撮影されたとみられる、ソウルや仁川の上空写真も配信された。北朝鮮の発表によると、搭載されたカメラは20メートルの大きさのものが識別できる性能を持っている。
ただ、韓国メディアは「弾道ミサイル」だという見方を変えておらず、その性能も疑問視している。例えば朝鮮日報によると、偵察衛星には0.5メートルの大きさのものが識別できる程度の性能が必要で、北朝鮮の発表を
「軍事衛星や偵察衛星と言えるレベルではなく、地球観測衛星としても使えない」
「当初撮影できなかった可能性もあるし、いつ、どこで撮影されたか分からない。実際の写真とは信じられない。欺瞞(ぎまん)かもしれない」
などと酷評する専門家の談話を載せている。