岸田文雄首相が、自身が選ぶ「今年の漢字」に「進」を挙げたことに厳しい声が寄せられる中、国民民主党の玉木雄一郎代表は「安」を挙げた。安倍晋三元首相の銃撃事件や厳しい安全保障環境、コロナ禍をめぐる「安心・安全」などを念頭に置いている。
岸田氏が選んだ「進」は「『進みたい』という希望」だとみており、「前に進む政治を行っていただきたい」と話した。
「『進みたい』という希望なのかな、と思うので...」
「今年の漢字」には「戦」が選ばれ、その次に得票が多かったのが「安」だった。玉木氏は、自身の「今年の漢字」をユーチューブチャンネルで公募し、「安」を選んでいた。12月20日の定例会見で、その理由を次のように説明した。
「何と言っても、安倍元総理の銃撃事件があった。そして、安全保障についての関心が、これほど高まったときはなかったと思う。コロナも引き続き影響が残っていて、安心・安全ということについても、国民の意識は非常に高いと思う」
岸田氏が「進」を選んだことについては、岸田氏のアカウントに対するものとしては過去最多(J-CASTニュース調べ)の1万5000件以上の返信が寄せられ、その大半が批判的な内容だった。玉木氏は、
「『進みたい』という希望なのかな、と思うので、ぜひ決断して、実行して、前に進む政治を行っていただきたいと期待している」
などと比較的前向きに受け止めた。
官房長官も「安全保障環境」で「安」
国民民主党は、予算案に賛成して多くの野党から批判されたり、玉木氏の入閣説が報じられて否定したりするなど、党としての立ち位置が問われる1年でもあった。23年の党勢は「安泰」「安心」なのか。
玉木氏は「安泰・安心だと思ったことは1秒たりともありませんね」。「走り続けないと、戦い続けないと党勢は拡大しない」などと話した。
「今年の漢字」をめぐっては、松野博一官房長官も「安」を選び、その理由として「国民生活の安定」や「安全保障環境」を挙げている。23年も政権との距離感が問われることになりそうだ。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)