社内から「ヘイト本」指摘→回収発表の『中野正彦の昭和九十二年』 版元社長が騒動謝罪「ガバナンスの甘さが要因」

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「回収理由は、本書がヘイト本だからでは断じてありません」

   担当編集者は「回収理由は、本書がヘイト本だからでは断じてありません。また、いただいたご指摘は重く受け止めますが、抗議活動に屈したからでもありません」とツイッターで説明している。

   『中野正彦~』には、差別的な思想をもつ登場人物がおり、「耐えがたいショックを受ける方もいらっしゃると考えられます」とするも、それが伝えたい内容ではなく、「現実として、そのような差別的表現が世の中に横行しており、それを野放しにしていると、本書に描かれている最悪の未来が訪れてしまうのではないか、という作品です」「著者や担当編集に、差別を助長、扇動する意図はなく、あくまで反差別の立ち位置から執筆、編集しました」と刊行の意図とともに執筆側の立場を明確にした。

   著者の樋口毅宏氏も、執筆の動機は文芸評論家・吉田健一が示した「理解できない敵がいて、その敵のことをよく理解するためには、まずはその敵の気持ちになって考えてみることです」との旨の考えへの共感で、「ヘイト本」や「歴史捏造本」とは一線を画しているとツイッターで記している。

   樋口氏はネット上の排外主義的な主張に危機感を覚え、「どうしたらいいのか。どうすべきか。私は作家なので、小説で世間に伝えることにしました」としている。

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